いつもより短い夏休み。本の中だけでも夏を楽しめれば……。4回目のテーマは、「夏の本」です。
皆さんのおばあちゃんはどんな人ですか? 優しい人? それとも厳しい人?
『シカゴよりこわい町』(東京創元社)は、9歳と7歳の兄妹が、初めて「おばあちゃん」の家を訪れた1929年から7年間の夏の思い出を、兄ジョーイが回想する形で書かれています。
「おばあちゃん」が住む町は、兄妹が住むギャングがはびこるシカゴと全く違うのどかな田舎町……のはずでした。しかし、豪快で無愛想で口が悪くて大ぼら吹き。その上、平気で銃をぶっ放すおばあちゃんに振り回されて、2人は戸惑ってばかりです。
このままだとおばあちゃんは孫たちに嫌われてしまうかも……と心配になりましたが、ところがどっこい! ぶっ飛んでいてもどこか一本筋の通ったおばあちゃんを、孫たちはどんどん好きになっていきます。様々な騒動を起こすおばあちゃんですが、その行動の端々から、孫たちへの愛情が伝わってきました。
皆さんも、この本の中の魅力的なおばあちゃんとハチャメチャな夏を過ごしてみませんか? きっと楽しいと思いますよ。(小6・細井雪菜記者)
もしもあなたがお金も服も何もかもとられて島に残されたら……? 『〈ヤギ〉ゲーム』(徳間書店)は、サマーキャンプに一緒に参加していた子どもたちに「ゲーム」として丸裸にされ、湖の中の島に取り残されてしまった少年と少女の物語です。
うまく周囲にとけ込めず、孤立しがちだった2人は、会ってすぐは、お互いに信頼できず、意見もバラバラでした。しかし、何も持っていない状態で生きていくため、別荘に忍びこんで服を盗んだり、他のキャンプの集団にとけ込んだり……と協力してたくさんのことを乗り越えるうちに、信じ合うことの大切さを知っていきます。私は、2人が困難に直面するたびにドキドキし、読み終えた後は、大きく成長した2人の姿に、とても前向きな気持ちに包まれました。
この本は、協力し合い、互いを思いやることの大切さを伝えているのではないか、と思いました。
どことなく緊張感が漂ういまだからこそ、2人の冒険と成長に触れて、温かく明るい気分を味わってみてはいかがでしょう?(中3・飯島ひかる記者)
コロナ禍で思い切り楽しむことができなかった今年の夏休み、本の中に描かれた「夏」をのぞいてみませんか?
『ジェミーと走る夏』(ポプラ社)《1》の主人公は、フロリダに住む走るのが好きな12歳の少女キャス。夏休み、隣に黒人一家が越してくると知ったとたん、父さんは境にフェンスを建てました。でもキャスは、フェンス越しに様子をうかがううち、同い年の少女ジェミーと知り合い、一緒に走る練習をしたり、本を読み合ったりするようになります。
ところが父さんはふたりが仲良くすることも禁止。ふたりはなんとかつながっていようと工夫します。白人と黒人両家のわだかまりが次第に解けていく様が、肩を並べて走るふたりの姿と重なって、さわやかな読後感の物語です。今アメリカで起こっている、黒人差別解消を訴える「ブラック・ライブズ・マター」運動の背景を知ることもできますよ。
『グリーン・ノウのお客さま』(評論社)《2》は、アフリカのジャングルで2歳の子ゴリラが狩猟隊に捕まるシーンから始まります。ハンノーと名付けられたこの子ゴリラは、ロンドンの動物園に連れてこられます。11年後、戦争で孤児になり、難民収容所に住む中国人少年ピンは、動物園でハンノーに出会い、密かな友情で結ばれます。
ピンは古い屋敷グリーン・ノウに住む老婦人から招待され、緑の森に囲まれた石造りの家で夏休みをすごすことになります。そこへ、ハンノーが脱走したというニュースが。捜索が進む中、ピンは森でハンノーと再会し、かくまおうとしますが……。人間の子とゴリラの間に通い合う愛情が、切ない痛みとともに伝わる忘れがたい一冊です。
セミの鳴き声は夏休みのBGM。『クマゼミから温暖化を考える』(岩波書店)《3》によると、近年、大阪など西日本の都市でクマゼミが激増、分布も北に広がっているそうです。これが地球温暖化の影響によるのではないかと考えた大学教授が、冬の気温の変化や、夏の乾燥、土の硬さ、梅雨などとの関連を、実験や観察を通して明らかにしていきます。地道な積み重ねから科学的な結論を導き出す過程は、まさに名探偵の推理同様、謎解きの興奮が味わえます。
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August 31, 2020 at 03:20AM
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