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<視点>もう先送りできない「選択的夫婦別姓」議論 政治部・柚木まり - 東京新聞

「選択的夫婦別氏制度を早期に実現する議員連盟」設立総会の冒頭、これまでの経緯について話す呼び掛け人の浜田靖一会長(中央)=25日、東京・永田町の参院議員会館で

「選択的夫婦別氏制度を早期に実現する議員連盟」設立総会の冒頭、これまでの経緯について話す呼び掛け人の浜田靖一会長(中央)=25日、東京・永田町の参院議員会館で

 日本では民法が夫婦同姓を定め、結婚する時、男性か女性のどちらかが姓を変える必要がある。96%の女性が男性の姓に変えているが、国際的に見ればいびつな制度で、国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)は日本社会の根深いジェンダー格差を指摘する。世界で唯一の制度を改めてジェンダー平等を実現するため、希望すれば結婚前の姓を名乗れる「選択的夫婦別姓(別氏)制度」の議論はもう先送りできない。

 「時代にマッチした形で、世の中は変わっていくべきだという思いを主張したい」。選択的夫婦別姓制度の早期実現を目指す自民党の議員連盟が先月に発足し、会長の浜田靖一元防衛相が力を込めた。党内に反対、慎重派が少なくない中、若手を中心に賛同を呼び掛け、派閥を超え100人以上の議員が参加を表明した。

 一方で、夫婦別姓制度に反対し、旧姓使用の拡大を目指す有志議員も今月に入って議連を発足させた。賛否両論の新たな動きを受け、自民党は制度を議論するワーキングチームで約20年ぶりに本格的な議論を再開させる。安倍政権では、結婚後も社会的な通称として旧姓を使うよう促し、夫婦別姓制度の議論が進まなかったことを考えれば、ようやく一歩を踏み出した。

 だが、自民党内には「家族観を根底から覆す問題だ」という反対、慎重論が根強く、国際社会や国民の声との隔たりが大きい。ジェンダー平等を目指す政府の第5次男女共同参画基本計画の策定を巡る取材でも実感させられた。

 政府は昨年12月、夫婦同姓規定を「差別的だ」として法改正を求めるCEDAWの勧告や、世論調査で夫婦別姓の容認派が反対派を上回る現状を重視し、踏み込んだ内容を基本計画に盛り込むよう検討していた。自民党の反対派は「政府は導入ありきで意図的に作成している」と同意せず、基本計画からは96%の女性が改姓する現状説明も、「選択的夫婦別氏制度」の文言も消えた。

 夫婦別姓の導入を求める400件以上の意見が内閣府にパブリックコメントで寄せられていたにもかかわらずだ。政府の担当者は「自民党には高いハードルだった」と肩を落としたが、党内の水面下での議論で基本計画の内容が大きく後退したことに、納得のいく答えはなかった。

 東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗前会長による女性蔑視発言は、国内外から強い批判を浴び、ジェンダー平等が進まない日本の現状を世界に発信することになった。世界経済フォーラム(WEF)が公表した2021年のジェンダーギャップ指数で、日本は156カ国中、120位にとどまり、男女平等実現への道のりは遠い。

 政府は「30年代には誰もが性別を意識することなく活躍できる社会」を目指す。まだ見ぬ世界を実現するには、少なくとも選択的夫婦別姓制度の導入は欠かせない。

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