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まだ、あなたが知らないニューヨーク最新トレンド ファッション性が求められるライフスタイルブランド全盛期 - WWD JAPAN.com

 ニューヨークで活躍する名物クリエイティブ・ディレクター、メイ(May)と、仕事仲間でファッションエディターのスティービー(Stevie)による連載第5回。仕事とは別に、月に1度は新しいレストランを開拓しながら情報交換する2人。“You’d Better Be Handsome”は、2人がときにゲストを交え、ニューヨークのトレンドや新常識について雑談するコラム 。今回は、ますます増えていくおしゃれアーリーステージ系ブランドについて。サブスクリプション制はどこまで増えていくのか?歯ブラシから空気清浄機まで、ハイセンス戦争が繰り広げられる市場トレンドについてトーク。

 本日のランチは、昨年末に「ソーホーグランドホテル(SOHO GRAND HOTEL)」の1階にオープンしたカジュアルなダイナー「ソーホーダイナー」(320 West Broadway, New York NY 10012 Ph. 212 965 3011)にて。ややレトロな内装で、昔からあるダイナーよりは数倍おいしく、ヘルシーな選択肢もあるのが嬉しい。暖かくなったら屋外にもテーブルが用意されるらしい。

スティービー:ちょっとおしゃれな普通のダイナーに見えるけど、24時間オープンて、ありそうで実は珍しい。

メイ:昔からチェルシーにあるレストラン、その名も「カフェテリア(CAFETERIA)」とかテレビドラマ「セックス・アンド・ザ・シティ(SEX AND THE CITY)」に登場する店があるけど、あそこも確か24時間だったよ。

スティービー:懐かしい!

メイ:ファッション・ウイーク中はすごく混んでいたよね。

スティービー:ショーそのものは数も減って、特に今シーズンは静かだけど。ネットでほぼ同時にショーが見られるようになってから、ショーにがんばって行く人たちも減っているのでは?

メイ:そうね、インビテーションをリクエストして、ちゃんとくるかどうか確認して、混んでいる会場で人をかき分けて自分のシートを探してようやく座ったら頭しか見えなかった、なんてことになるなら、最初からスマホで見た方がいいと思う人が増えても仕方がない。

スティービー:バイヤーやエディターはそもそもショールームにしか顔を出さない人もたくさんいるし。実際に手にとってみるのって大事だし。

メイ:というか、ファッションに対しての憧れの気持ちが以前のようにはないというのもある。ファッションのプラットフォームが大きく変わっている今、ショーの形態も変化していくはず。

スティービー:数年前に話題になった“シーナウ・バイナウ(SEE NOW, BUY NOW)”も、もはや死語。ショーで発表された直後に、半年待たずに消費者が購入できるということで大きなブランドが取り入れていたよね。

メイ:アイデアとしては画期的だったけど、私が一回も利用しないでいるうちに誰も口にしなくなってしまった。

スティービー:ファッションだけじゃなく、いまはテレビ番組や映画も、自分の都合に合わせて楽しむという時代。

メイ:今年のアカデミー賞でも ネットフリックス(NETFLIX)で制作された「マリッジストーリー(MARRIAGE STORY)」や「アイリッシュマン(IRISHMAN)」がノミネートされていた。

スティービー:まずは映画館でちょろっと上映し、そのあとは好きなときに家にいて観られるネットフリックスでというシステム。以前だったらテレビで観られるような作品は、そもそもオスカーに選考されてなかったけど、そんなこと誰ももう言わない。映画=映画館の時代はとっくに終わっている。

メイ:結局ファッションもネットショッピングが主流になっているし。

商品の背景にあるストーリーで共感を

スティービー:だけど、今シーズンの商品をただ並べるだけだと全く響かない。それぞれが持つストーリー性が求められている。

メイ: 最近はどこの会社でも、文章が上手に書けるというよりは、物語を生み出せる作家的な人材を起用することが成功の鍵というのが常識。私が大学を出た頃は、文学部の人たちは就職先がなくて大変だったのに!

スティービー:「ネッタポルテ(NET-A-PORTER)」や「エッセンス(SSENSE)」みたいなECサイトも編集記事に力を入れているのは、そこが大事だと分かっているから。作家性が求められているのは、物語を生み出し、共感を持ってもらわないとものが売れない時代だから。

メイ:「ネッタポルテ」は、「ポーター(PORTER)」という雑誌を前から出しているよね。トップモデルがいつもカバーを飾っている。私の日本のスタイリストやエディターの友人らも、いろんなショップからトークショーによく呼ばれている。商品をただ置いても売れないから、ストーリー性を与えているところが同じ。

スティービー:リテールの未来は暗いけど、一方で勢いがあるのはライフスタイル系ブランド、しかもアーリーステージの。

メイ:そうね、地下鉄や駅貼りの広告も、ネットフリックスやアマゾン(AMAZON)、それに映画ポスターかライフスタイル系のブランドばかり。

スティービー:なんでもないプロダクトにファッションのエッセンスを盛り込み、シンプルでひねりの利いたグラフィックというのが共通している。

メイ:私のクリエイティブエージェンシーでも最近ライフスタイル系の依頼も多い。

スティービー:クリエイティブ・ディレクターが最初からがっつり入って、ストーリーを文字とビジュアルで作り上げていけるかどうかが成功の鍵だからね。

ライフスタイルブランドを中心にアーリーステージのビジネスが活況

メイ:アーリーステージ系で分かりやすいところといえば、やっぱり「キャスパー(CASPER)」かな?

スティービー:シンプルなベッドマットレスにどんどんストーリーを与えて、今度ベッドマットレスを買うときはトライしてみようかなという気持ちにさせる。

メイ:ベッドのマットレスといえば、ちょっと前まではブルーミングデールズのインテリアフロアか、街のあちこちにあるチェーン店とかでトライして買うしかなかった。長い間使うものなのに、ちゃんと寝て試すこともできないままに。

スティービー:眼鏡の「ワービーパーカー(WARBY PARKER)」もいい例。眼鏡店は街中にあるけれど、どこで買ったらいいか分からない、システムがいまいちクリアじゃなかったところに目をつけて、ウェブで注文し、似合わなかったらすぐに返品できるというシステムと、豊富な種類、買いやすい値段で爆発的な人気になった。

メイ:5つ選んで家で試せる。フレームだけだと、100ドル(約1万900円)以下のものも充実している。眼鏡って高いし失敗できないから。

スティービー:ネットで安定した人気が出てから出店するパターンも、ここから出てきたのかも。

メイ:ファッションのベーシックだけを売る「エバーレーン(EVERLANE)」も、卸をしないことで、作り手にも買い手にもお得感があるシステムが受け入れられた。企業の信念みたいなものが最初からクリアだったから。

スティービー:どこでも買えるのに、どこで買ったらいいか分からないようなビタミン、シェーバー、スーツケース、下着、シーツ、歯ブラシ―そういったカテゴリーが一気におしゃれになったのは、これらのスターター系のおかげ。

多機能よりもコンセプトが洗練されているかの“ハイセンス戦争”

メイ:私も「クイップ(QUIP)」の電動歯ブラシを使っている。前から電動歯ブラシが欲しかったけど、洗面所が狭くなりそうなデザインばかりで買いたくなかった。「クイップ」は普通の歯ブラシとサイズ的にも大差がないし、なによりデザインがシンプルなのがいい。

スティービー:テクノロジーで言うと、大手家電メーカーのモノの方が数段いいかもしれないけど、そもそもたくさんの機能が付いていても使わないし、パッケージが大昔のままで逆に驚かされることも多い。

メイ:サブスクリプションについてはどう思う?私は歯磨き粉とブラシの替えが定期的に届くから忘れなくていい一方で、歯磨き粉は3つくらいたまってる。

スティービー:僕は、家で空気清浄機の「モレキュール(MOLECULE)」を使っている。デザインがすっきりしていて邪魔にならないし、フィルターのリフィルが定期的に届くから助かる。

メイ:女性用シェーバーの「フラミンゴ(FLAMINGO)」、ウェルネスやサプリの「ヒムス(HIMS)」や「ハース(HERS)」のほかにも、私が最近サプスクリプションしてるのは環境に優しい洗濯洗剤「ドロップス(DROPPS)」とか。

スティービー:買い物に出掛けなくても、クレジットカードにどんどんチャージされるわけだね。

メイ:そういえばスティービーは最近、「アウェイ(AWAY)」のスーツケースをいくつか買ってたよね?

スティービー:パントンとの限定コラボカラーがかわいかったから。でも「アウェイ」のスーツケースはシンプルなデザインだけど色展開も豊富だし、スマホ用バッテリーが付いているタイプもある。なんでもないデザインだけれど、追加料金でパーソナライズもしてくれる。定番スタイルが225~295ドル(約2万5000〜3万2000円)と買いやすい値段。

メイ:修理をすぐしてくれると聞いた。スーツケースってアフターケアが実は大事だから。

スティービー:これまではテクノロジーを優先にモノ作りをしてきたブランドが多いけど、デザインがいいのは当たり前で、コンセプトが洗練されているか、“人の心を動かす見せかけでない物語”がしっかりあって、それがちゃんと伝わっていくか、そしてそれをトータルでどう見せていくかが問われる。

メイ:女性の下着のブランドも、気になっているのがいくつかある。「サードラブ(THIRD LOVE)」や「ネガティブアンダーウエア(NEGATIVE UNDERWEAR)」。まず着る人のことを考えて作っているデザイン。それとネットで買って、家で試着して、気に入らなければすぐに返品できるってラク。

スティービー:すぐに返品できるからこそ、買ってみようかなという気になる。返せないかもと思ったらネットショッピングは難しい。アメリカだけかもしれないけれど、知識のない店員と無駄なおしゃべりするのも面倒だし。

メイ:日本にはまだまだ知識と意欲のあるスタッフがいる感じだけど、ささっと買いたいときにはあの丁寧さが正直めんどくさいなーと感じることも……。

スティービー:アーリーステージ系のブランドの特徴は、広告に積極的なことだといえる?

メイ:もちろん!アーリーステージブランド全盛期とはいえ、似たようなブランドが毎日次々と現れては消えていっているのも事実。彼らは、電車の中吊り広告や、地下鉄の駅を全部1ブランドで埋め尽くすステーションドミネーション、ビルボード、バス停広告など、メッセージ性のあるビジュアルキャンペーンにもすごく積極的だし面白い。今のニューヨークの街をいちばん輝かせているのは、こういうブランドなのかもね。

メイ/クリエイティブディレクター:ファッションやビューティの広告キャンペーンやブランドコンサルティングを手掛ける。トップクリエイティブエージェンシーで経験を積んだ後、独立。自分のエージェンシーを経営する。仕事で海外、特にアジアに頻繁に足を運ぶ。オフィスから徒歩3分、トライベッカのロフトに暮らす

スティービー/ファッションエディター:アメリカを代表する某ファッション誌の有名編集長のもとでキャリアをスタート。ファッションおよびビューティエディトリアルのディレクションを行うほか、広告キャンペーンにも積極的に参加。10年前にチェルシーを引き上げ、現在はブルックリンのフォートグリーン在住

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February 21, 2020 at 06:04AM
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