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【解説】 イギリスはEUを離れる しかしまだしばらくは出発ロビーに - BBCニュース

ローラ・クンスバーグBBC政治編集長

何が変わるのか? 何もかもが変わる。そして、何も変わらない。イギリスは今日から、今までとまったく違う方向へと出発する。

私たちはこれまで50年近く、欧州の法的・政治的枠組みの一部だった。それが今、プラグを一つ一つ外すように、イギリスはそこから離れる。これがどれほどの大事か、過小評価してはならない。

イギリスの有権者は2016年に僅差で、欧州連合(EU)を離脱すると決めた。昨年12月の総選挙は、その決定を確認する結果となった。

離脱によって、機会が生まれる。自由も増える。この国の議会が決める法律が、私たちにとって最上位の法律となる。

EUの基本理念のひとつは、加盟国の市民は域内を自由に移動し、域内のどこでも制約なしに働いて住むことができるというものだった。これはもはや適用されなくなる。つまり、イギリスは世界各地からここに来て住みたいという人たちに対する条件を、自分たちで決めることになる。

私たちはもはや、大きな問題について仲間割れして身内でもめるけれども、法律上ひとつにまとまって行動しなくてはならない、そういうクラブの一員ではなくなる。私たちはもっと自由に、自分たちのやりたいように行動できる。

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しかし、EU離脱によって、リスクも高まる。私たちは、次に何がどうなるのかはっきり分からないまま、大きな一歩を踏み出すのだ。

この国の経済の大半が、離脱によって動揺するのは間違いない。そして、残留した場合よりも経済成長率は低くなると、統計の専門家は押しなべて同意している。

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もちろん、いずれは離脱して良かったと思うようになると、政府は証明したがっている。離脱によって損をする人より、得をする人の方が、ゆくゆくは多いはずだと。しかしそれは分かりやすく即座に実現するものではなく、政治家はそれが本当かどうか、これから何十年にもわたり議論し続けることになる。

さらに、世界におけるイギリスの立場がこれからどう変化していくのかも予測しにくい。EUというテーブルにはもう着くことが出来ないが、それでも世界有数の経済規模の国だというのは変わらないし、外交上の影響力も大きい。何らかのテーブルに着けるだけの力はある。

27カ国のまとまった声に比べると、1つの国の声は無視しやすい。しかし、その声に信頼性と説得力があり、対応も素早いなら、今までとは違う形でも、相当の力を持つことは可能だ。

「出発ロビー」

1月31日午後11時から1分を過ぎたその時、大して何も変わっていないと、そう感じてしまうのは簡単だ。

ロンドンの官庁街ホワイトホールでは赤白青の国旗がはためくし、保守党のブレグジット・カウントダウン時計はついにゼロに到達する。

EU離脱のため特に激しく情熱的に運動していた1人は私に、夜が明けるまでずっと起きているつもりだと話した。「一度きりのことだから」と。

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私たちは31日午後11時に、正式にEUを出る。しかし実際には、そのまま明らかに今まで違う未来へ旅立つというよりは、かなりしばらく出発ロビーにとどまることになる。

今年の年末までは、イギリスの企業も政府もEU規則に従わなくてはならないし、相当な額の拠出金を払い続ける。

そういう意味ですぐに変わるのは、EUの政策決定に参加しなくなるという点だ。そして、手に汗握るギリギリの交渉が、貿易や安全保障など無数の課題について待ち受ける。

英政界がこれで揺れに揺れたことが、総選挙での保守党圧勝につながった。その結果、少なくとも当面は、政府の意向が下院で通るのかどうか分からないという日々はもう終わった。

論争に勝つかどうかと、これは別の話だ。しかし、政権を握るとはすなわち、賛成票を獲得することだ。そして、今の政府はとりあえずしばらくは、あまり心配しなくても下院で自由に動くことができる。

これから年末までの移行期間の間、ある意味で今まで通りの状態が続く。しかし、大問題は決着した。変わるのだという決定が覆されることはない。それが具体的に何をもたらすのか、正確なところはまだはっきりしないけれども。

そしてそれによって、ウェストミンスター(英政界)はすでに大きく変わった。保守党は、言い争うための新しい議題を必要としている。

私たち全員の生活を変える国民投票の実施に至った、40年来の内紛は、とりあえず終わった。政治力学はすでに変わったし、変化の速度はもしかすると想像する以上に速いかもしれない。

離脱運動を推進したマイケル・ゴーヴ氏は今週のインタビューで、政治家としてもう「欧州のせいにできない」と話した。もう「有権者から隠れる」ことはないと。とりわけ保守党にとっては、便利なお化けはもういないのだ。

投票は国の針路を変える

ということは、これでイギリスの政治家は変わるのだろうか。政治家たちも私たちも、何がどこまでどう変化するのか、その規模を本当に理解し始めているのだろうか。

私が20年近く前にウェストミンスターの内外で働き始めたとき、欧州の問題は大事ではあったけれども、それは政治オタクにとっての話だった。

ヨーロッパとの関係をテーマとして本当に、本当に大事にしている人たちはいた。けれども多くの下院議員にとって、ましてや国民の大半にとって、優先順位はかなり低いテーマだった。

EU加盟問題がイギリス政治を4年間も支配することになるなどと2000年代初頭に言おうものなら、頭がおかしいと馬鹿にされたはずだ。

2015年に至っても、当時の政府幹部は私に何のためらいもなく、私たちがEU離脱に賛成する可能性が2割を超えるなどあり得ないと断言した。

それでも今、ことはここに至った。私たちは紛れもなく、全員の人生、そして次の世代の人生に影響を与える瞬間に立っている。

ブレグジットのそもそもやリスクやチャンスについて、もう何度も議論してきたし、これからも激しく議論されるだろう。そしてもちろん、「たられば」を比較できるような平行宇宙は存在しない。

これからの数年間は、そういう「たられば」や「せめて何々だったら」という話が繰り返されるはずだ。これから何十年たっても歴史家たちはいつまでも、私たちが国として正しいことをしたのか、議論し続けるだろう。

しかしブレグジットは、あらゆるチャンスと、脅威のリスクと共に、現実のものになった。そして何はともあれ、良きにつけ悪しきにつけ、私たちが投票所で投票用紙に何を書くかは自分たちの国の針路を変えるし、実際に変えたのだと、今こそあらためて思い出すべき時なのかもしれない。

(英語記事 Brexit: UK is leaving the EU but remains in the departure lounge

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January 31, 2020 at 05:08PM
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