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ヒューストンの中国総領事館はコロナ・ワクチンを盗もうとしていた? - Newsweekjapan

<コロナ・ワクチンの市場投入で一番乗りしようという中国の意図は明らかだった」と、ある米国務省高官は言う>

アメリカ国務省がテキサス州ヒューストンにある中国総領事館の閉鎖を命じた問題で、トランプ政権の複数の高官は7月24日、総領事館が産業スパイの拠点として使われていた可能性があるとの見方を示した。背景には、新型コロナウイルスのワクチンを世界に先駆けて市場投入したいという中国の野望があるという。

ヒューストンには世界最大の医療機関の集積地「テキサス医療センター」があり、大学などの研究機関も集まっている。米高官らによれば、総領事館は過去10年間に少なくとも50回にわたり、最先端の科学技術分野の優秀な専門家(およびその技術や研究成果)を世界中から集めるプロジェクト「千人計画」で中国人や外国人の研究者を勧誘するのにも使われたという。

近年、中国は科学技術の飛躍的な進歩を目指し、中国人や外国人の研究者を囲い込む作戦を組織的に進めてきた。ヒューストンの総領事館員は直接、研究者との連絡に携わり、収集すべき情報について指示を出していたと高官らは言う。

「2019年に新型コロナウイルスの流行が起きた際の中国の状況を鑑みるに、ワクチンの市場投入で一番乗りしようという中国の意図は明らかだった」と、ある米国務省高官は言う。医療研究機関が集まっているというヒューストンの「特殊性」もあった。ただし、中国がどういった機密情報を狙っていたかについては現時点では明らかになっていない。

24日、中国は報復として、四川省成都にある米総領事館の閉鎖を通知。27日に閉鎖した。

特に大胆なヒューストンのスパイ

米当局による中国のスパイ摘発は他でも行われており、同じ24日にはサンフランシスコ総領事館に潜伏していた中国人研究者で中国空軍の将校でもある人物が逮捕された。FBIはその数日前にも、中国軍の関係者であることを隠しビザを不正取得していたとして3人を逮捕している。

複数の米政府高官によれば、ヒューストンの総領事館は他の在外公館同様、長年にわたって中国の情報収集作戦の拠点として使われていた。だがアメリカの情報機関の高官によれば、ヒューストン周辺で科学技術分野の情報収集にあたっていたスパイたちは「特に大胆でしかも大きな成功を収めていた」という。FBIのクリストファー・レイ長官は今年7月、10時間に1件のペースで中国による新たなスパイ事件の捜査が始まっていると述べた。

<参考記事>中国人女性と日本人の初老男性はホテルの客室階に消えていった
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