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まだ、あなたが知らないニューヨーク最新トレンド ファッション界を襲う新型コロナ お家ごもりで活躍の新ツールとアイデア - WWD JAPAN.com

 ニューヨークで活躍する名物クリエイティブ・ディレクター、メイ(May)と、仕事仲間でファッションエディターのスティービー(Stevie)による連載第7回。仕事とは別に、月に1、2度は新しいレストランを開拓しながら情報交換する2人。“You’d Better Be Handsome”は、2人がときにゲストを交えて、ニューヨークのトレンドや新常識について雑談する。今回は、新型コロナウイルスの影響で、レストランが全閉鎖になり、さらに自宅勤務体制となった2人とメイのクリエイティブ・エージェンシーでプロデューサーを務めるレイチェル(Rachel)とでズーム「ズーム(ZOOM)」ビデオを使って近況報告会。新型コロナウイルスで打撃を受けているニューヨークの街、そしてファッションビジネスをリポート。

メイ:この数週間、日を追うごとに状況が悪化している。ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ(Andrew Mark Cuomo)知事が言っているとおりになっていく…。3月頭には、スティービーとパリにいたのよね。ミラノではすでに騒がれ始めていたけど、まだあの時は対岸の火事的だった。パリ行きの飛行機も満席だったし。それが今では、セントラルパークにまでベッドが並べられて野戦病院化しているんだから。

スティービー:ホテルの朝食では、米「ヴォーグ(VOGUE)」編集長のアナ・ウィンター(Anna Wintour)とデザイナーのステラ・マッカートニー(Stella McCartney)が隣りのテーブルで楽しそうにおしゃべりしていた。

メイ:ホテルの朝食、なんて優雅!遠い昔のことのよう。ニューヨークは外食が禁止になって早3週間。ブティックまで閉鎖になるなんて夢にも思ってなかった。

スティービー:パリのヴァンドーム広場の店は、万が一の暴動に備えて板やプレキシグラスで覆われている。街の風景がガラリと変わってしまった。

メイ:ニューヨークの高級ブティックも、パリにならってすでにブロックしているらしい。外に出てないからニュースで見ただけだけどね。5番街やソーホーはもちろん、セフォラ(SEPHORA)まで。ニューヨークで暴動は見たことないけど、とうとうそんなことが起きるのか?

レイチェル:バーグドルフ・グッドマン(BERGDORF GOODMAN)を抱えるニーマン・マーカス(NEIMAN MARCUS)も破産しそうだし、ブルーミングデールズ(BLOOMINGDALE'S)を傘下に収めるメイシーズ(MACY'S)も13万人の従業員のほとんどに休暇を出したっていうから。ネッタポルテ(NET-A-PORTER)みたいな大手オンラインストアも、感染者が触れているかもしれない返品を扱うスタッフの安全性を考えて3月27日からアメリカ、ヨーロッパ、中東でのビジネスを停止しているし(現時点ではアジアでは停止していない)。ファッション業界は今後どうなる?

モデルたちも“セルフシュート”

メイ:それにしても、恒例のランチミーティングまで「ズーム」になるとは思ってもいなかった。先週まではテック系の人たちが使うアプリだと思って興味もなかったのに。

スティービー:いまやアメリカ中で、会議はもちろん授業、そしてバースデーパーティーからハッピーアワーまで「ズーム」でやっている。異常な状況だけど安全が第一だから。

レイチェル:ニューヨークでは、“ポーズ(PAUSE)”とも呼ばれている自宅勤務義務付けが3月22日からスタートし、ニューヨーク市の公立学校も3月16日から閉鎖に。個人的には、かわいがっているオフィスの植物たちが気になっているけど、考えないようにしている。

メイ:さらに人と会わない“ソーシャル・ディスタンス”令が最短で4月30日まで延長になったし。許可証がないと外に出られない完全な“ロックダウンして”にならないといいんだけど、このままだとそうなるかもね。

スティービー:ファッション業界への影響も計り知れない。人と会ったらダメだから、当然撮影も全キャンセルだし。モデルエージェンシーでも感染がけっこうあったみたい。

レイチェル:特にショーの頃は、ニューヨークの人たちもヨーロッパにいたし。でも、モデルエージェンシーも今は自宅で業務をしているわけでしょ?

スティービー:某モデルエージェントから聞いたところによると、撮影ができなくてもコンテンツが必要だから、モデルたちに直接商品を送って“セルフシュート”してもらっているらしい。

メイ:“セルフシュート”って、“セルフィー”とどう違うの?

レイチェル:商品がなにかにもよるけど、自分でヘアメイクもある程度やって、自宅で撮影すること。“セルフィー”よりはもう少し手が込んでいるというか、準備にも力が入っているってことかな?

スティービー:フォトグラファー、スタイリスト、ヘアメイクがいなくても、モデルだけでなんとかする、なんとかなってしまう。コロナが終わった後のファッション界に影響が出そう……。

メイ:撮影のセンスがあるかないかで、モデルたちの今後のキャリアに格差も生まれるね。

レイチェル:ヘアサロンやネイルサロンもずっと閉まっているから、このまま倒産するところも出てきそう。

スティービー:今後は「接触」や「触れ合い」、つまり“コンタクト(Contact)”の真逆にある「非対面」を意味する“インタクト(Intact)”がキーワードになっていくだろうね。握手やハグはしなくてもビジネスになるけど、髪に触らないでヘアカットはできない。

メイ:だとしたらマッサージとかも“インタクト”時代では厳しいカテゴリーになる?さみしいというか、不便極まりない。

ファッション誌の行方

スティービー:ラルフ ローレン(RALPH LAUREN)財団が新型コロナウイルスに関する援助を行うために、1000万ドル(約11億円)を寄付すると先日発表した。

レイチェル:死者数が止まらないイタリアでもデザイナーたちが病院に寄付したりしている。ケイト・モス(Kate Moss)をはじめとするセレブリティーから寄付してもらった服やアクセサリーを販売し、その売り上げを新型コロナウイルスで闘う病院やWHOに寄付しているフランス発の中古品マーケットプレイス「ヴェスティエール・コレクティブ(VESTAIRE COLECTIVE)」なども話題だね。今後もそういった活動は増えていきそう。ただ家にいながらできることが絶対条件だから頭を使わないといけないけど。

メイ:中国はもちろん、イタリアの縫製工場なんかも停止しているし、店舗が閉鎖されているから、ブランドの収入が今後激減することは目に見えている。そうなると広告費も減るから、雑誌のビジネスは直撃されるわね。すでに「Wマガジン(W MAFAZINE)」は17人解雇したとか。でもデジタル部門のスタッフはキープしているらしい。分かってはいるけど、もう紙の時代じゃないってことだね。

スティービー: コンデナスト(CONDE NAST)が昨年6月にフューチャーメディアグループ(FUTURE MADIA GROUP)に「Wマガジン」を売却していて、業績悪化に歯止めが利かなくなっている。

レイチェル:ウイルスが広まることを懸念して、雑誌だけでなく全てがデジタルになっていく。今回のことで、普段は会費を払わないと読めない「ニューヨーク・タイムズ(The New York Times)」や「ウォール・ストリート・ジャーナル(The Wall Street Journal)」をはじめ多くのニュース機関は、ニュースを無料で配信している。

メイ:米「WWD」で読んだところによると、コンデナスト・イタリアは、「ヴォーグ(VOGUE)」「GQ」など自分たちの雑誌のコンテンツを3カ月間無料で配信すると書いていた。

レイチェル:独自の視点からのニュースや読み物が面白い「ニューヨーク・マガジン(New York Magazine)」だけど、自宅勤務となった3月30日~4月12日号は、編集者が自宅からコンテンツを送って一冊作り上げたらしい。今後そういう手法が主流になっていくのかも?

スティービー:ファッション誌でもいわゆる普段の撮影はできないから、自宅で撮影したものを送ってほしいという依頼はいくつかの雑誌社からきている。僕のようなファッションエディターだけでなく、デザイナー、フォトグラファー、アーティスト、俳優、モデルなどなどに依頼がきているはず。

レイチェル:大手はなんとか持ちこたえられるかもしれないけど、インディー系の雑誌は本当に大変そう。次々と解雇されている話が入ってくる。広告収入が激減しているのがその理由。

メイ:ファッション撮影そのものに対して、新型コロナウイルス以前からいろいろな疑問が持たれていたよね。たくさんの服を国外から取り寄せたり、撮影のためにビーチに行ったり、動物を使ったり、ケータリングでたくさんのプラスチックゴミを出したり。

レイチェル:確かに、最近の撮影では「自分のマグカップ持参してください」とコールシートに書いてあったりするし、サステナビリティのことを考えていないプロダクション会社とは仕事を今後しないと言い切るフォトグラファーも珍しくないから。

“おうち時間の充実”が一気に加速

メイ:家ごもりの長期戦が決まった瞬間、まず取り掛かったのは家の掃除、というか断捨離かな。周りにそういう人が多くて笑えた。

スティービー:一日中、それも何週間も家で過ごすと分かった瞬間に、心地いいスペースを求めるのは当然のことなのかも。

レイチェル:オフィスに行かなくていい、お気に入りのカフェも閉まっている、映画館もやっていない、もちろんショッピングにも行けないし、ヨガ教室にも行けないとなるとやれることは限られてくる。

メイ:そうそう、ジョギングする人がいつもの数倍いるらしい。で、この際これまで買うかどうか決められなかった「ペロトン(PELOTON)」のバイクか、または「ミラー(MIRROR)」を買う人たちが増えそう。私のジムには、あのモニターからインストラクターが語りかけてくる「ペロトン」のバイクが何台もあったから使ったことはあって、リアルタイムで他の人と競い合えたりするのも楽しかったけど、何しろ初期投資が2245ドル(約25万円)と高額だし、ニューヨークのアパートって空間も限られているから、本気で買おうと思ったことはなかった。

レイチェル:自転車エクササイズのチェーン「ソウルサイクル(SOUL CYCLE)」が大ブレイクして久しいけれど、あのときサイクリングに魅了された人たちは、好きなインストラクターのクラスを好きな時間に自宅で受講できるなんて夢みたいという人たちもいるかも。サブスクリプションとして月々39ドル(約4200円)を払い続けるわけだけど。

スティービー:自分の姿が姿見に映る「ミラー」も画期的なデジタルワークアウトだよね。ルルレモン(LULULEMON)といった企業から、モデルでビジネスにも興味津々のカーリー・クロス(Karlie Kloss)までも投資していたのを覚えている。

メイ:これは要するに、鏡の中に映るインストラクターと自分が重なるってことよね?ヨガのポーズとかが上達しそうではあるけど。そんなに自分を見ていたいかな。私がカーリーだったらそうかもしれないけど。

スティービー:かなりナルシスティックなワークアウト法と言える。でも、ニューヨークにはナルシストなんていくらでもいるから。

レイチェル:おうち時間が続くと運動不足はけっこう深刻な問題よね。庭があるわけでもないし。公園もいつ閉鎖されるか分からないし、すでに山ほどあるエクササイズアプリやビデオがますます充実しそう。

スティービー:こんなに株価が最低記録を更新していくなかでも、「ペロトン」の株は買いだと言われているくらいだから。

メイ:自分だけのバイクだから、ウイルスの心配もしなくていいからね。同じ「ペロトン」でも、ジムの「ペロトン」はいま触りたくない。というか、ジムはもうとっくに閉まっているけど。

瞬時の判断が大きな差に

メイ:そういえば3月のパリではいくつかのショールームをスティービーと回ったけど、機転が利くスタッフがいるブランドは、まだ平和だったパリにおいても早々に服をビデオ撮影し、パリに来ることができなかったアジアのバイヤーたちに送るなどしていた。

スティービー:特にアジアのブランドは、一足先に新型コロナウイルスの影響を目の当たりにしていたからか、対応が早かった気がする。

メイ:あのときは、ふーん、そうなんだ、くらいだったけれど、日を追うごとに、ヨーロッパはビデオ撮影なんてできない状態に一気になってしまったから。

スティービー:パリのブランドのショールームでは、ファッション・ウイークの後にこれから「ビデオ撮影をしないと」とあたふたしていたから。

レイチェル:バイヤーからしてみたら、3Dの服を写真を見ただけでは買い付けできないよね。人が着たらどんなシルエットになるのか、後ろや裏はどうなっているのか、ディテールも見たい。

スティービー:ファッションだけではなく、全体の経済が今後どうなるのか。3月末の時点で、失業保険を申し込んだ人たちが米国内で665万人。あまりの数に言葉を失う。

レイチェル:ただこの中には、仕事が全キャンセルになって収入が完全にストップしてしまったスタイリストやメイクアップアーティストは含まれてないからね。ファッション業界のクリエイティブなフリーランスは、政府も守ってくれない。

メイ:でも今回は一時金が出るようで。動きが早かったよね。

スティービー:今回の緊急事態において、リーダーシップの大切さを学んでいる。ニューヨークも“エピセンター”(震源地)と呼ばれて、どうも日本のニュース番組でも毎晩自分たちの国のニュースよりもニューヨークの悲惨な状況を流しているようだけど、ニューヨークには人口約850万人が限られたスペースの中で生活しているわけだから、たとえばテキサスよりは感染者が多くなる。この人種も言葉も異なる人々をまとめるって不可能に近いけど、自分が感染しないことはもちろん、知らないうちに人に移さない、医療従事者に負担をかけないためにみんな真面目にこもっている。これはクオモ知事の熱いメッセージが届いたからだと思うよ。

メイ:そんな簡単に収束しないことも分かってきた。お家ごもりしているうちに、精神的にやられないように騙し騙しやっていかないとね。そういえば、この“ポーズ”や各地の“ロックダウン”で、カップルセラピストも大忙しのようよ。

スティービー:それ分かるな。いつも朝や夜だけしか顔を会わせないパートナーや子どもたちと24時間一緒にいたら仲良くなるか、喧嘩するか、2つに1つだね。

メイ/クリエイティブディレクター : ファッションやビューティの広告キャンペーンやブランドコンサルティングを手掛ける。トップクリエイティブエージェンシーで経験を積んだ後、独立。自分のエージェンシーを経営する。仕事で海外、特にアジアに頻繁に足を運ぶ。オフィスから徒歩3分、トライベッカのロフトに暮らす

スティービー/ファッションエディター : アメリカを代表する某ファッション誌の有名編集長のもとでキャリアをスタート。ファッションおよびビューティエディトリアルのディレクションを行うほか、広告キャンペーンにも積極的に参加。10年前にチェルシーを引き上げ、現在はブルックリンのフォートグリーン在住

レイチェル/プロデューサー : PR会社およびキャスティングエージェンシーでの経験が買われ、プロデューサーとしてメイの運営するクリエイティブ・エージェンシーで働くようになって早3年。アーティストがこぞってスタジオを構えるヒップなブルックリンのブシュウィックに暮らし、最新のイベントに繰り出し、ファッション、ビューティ、モデル、セレブゴシップなどさまざまなトレンドを収集するのが日課

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April 09, 2020 at 10:02AM
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