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日本のオリンピック招致、もう「夢見る」だけでいい - iRONNA(いろんな)

大峰光博(名桜大人間健康学部准教授)

 東京五輪・パラリンピックの開催が約1年延期されることが決まった。課題は山積しているが、通常開催や2年後の開催、そして中止といった他の選択肢と比較すると、現状では、多くの人々にとって最もダメージが少ない選択肢だったといえる。

 早速、2021年の開催に向けて議論が活発になっているが、本稿では新型コロナウイルスの世界的に影響を及ぼした今回の延期を踏まえ、今後の招致の在り方に焦点を当てながら、五輪のさらなる未来について論じたい。

 2020年1月29日、日本オリンピック委員会(JOC)は2030年の冬季五輪・パラリンピックについて、札幌市を国内の候補地とすることを決めた。

 JOCが札幌を国内の候補地として決定した際、北海道の鈴木直道知事は「五輪が道内で開催されることは、北海道の魅力を全世界に発信することなどにより、地域の活性化や観光振興につながる。連携を強めて取り組みたい」とコメントした。しかし、五輪開催が地域の活性化や観光振興につながるかは極めて疑わしい。

 経済学者で米スミス大のアンドリュー・ジンバリスト教授は、著書『オリンピック経済幻想論:2020年東京五輪で日本が失うもの』で、五輪による経済効果を検証し、地域の活性化や観光振興につながらない点をデータに基づいて示した。事実、前回と前々回の冬季五輪・パラリンピック開催地、韓国・平昌(ピョンチャン)とロシア・ソチも、大会終了後に人はあふれていない。

 また、政治学者で米パシフィック大のジュールズ・ボイコフ教授が著書『オリンピック秘史』で指摘したように、五輪は民間企業に利益をもたらす一方、納税者にリスクを負わせる偏った公民連携の構造を有する。近年、住民投票の結果から招致撤退が相次いでいることは、五輪開催後に重くのしかかる財政負担から、地域活性化や観光振興につながらない証左となっている。

 JOCが札幌を国内の候補地に決定した1月時点で、新型コロナウイルスの影響は、日本国内で顕在化していなかった。ところが早くから感染者が確認され、現在も東京に次ぐ感染者数の北海道では、拡大防止のための厳しい戦いが続いており、とても招致活動どころではない。

日本オリンピック委員会(JOC)の理事会であいさつする山下泰裕会長(右から3人目)。同4人目は田嶋幸三副会長=2020年1月(代表撮影)
日本オリンピック委員会(JOC)の理事会であいさつする山下泰裕会長(右から3人目)。同4人目は田嶋幸三副会長=2020年1月(代表撮影)

 ただ、北海道や日本で新型コロナウイルスが終息した後も、札幌は招致活動を再開すべきではなく、また、日本に暮らすわれわれも活動を支持すべきではない。まず上述したように、五輪が地域の活性化や観光振興につながらないからだ。

 それに、札幌のある北海道には、07年に財政再建団体に指定された夕張市が存在する。鈴木知事も11年から夕張市長を2期務め、約353億円の赤字解消を進めた。市職員の給与カットや人員削減、医療機関の縮小、小中学校の統廃合、図書館や公衆便所の閉鎖といった歳出カットだけでなく、水道料金の値上げといった負担も市民に課された。

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