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河北春秋(4/5):まだ「最後の夏」が残る春に、泣く選手を見… - 河北新報オンライン

 まだ「最後の夏」が残る春に、泣く選手を見た。甲子園球場で行われた第93回選抜高校野球大会。準々決勝の天理(奈良)戦で二回から登板した仙台育英の主戦伊藤樹(たつき)投手は痛打を浴びて六回途中で降板し、ベンチで涙を流した▼コロナ禍で昨年春夏の選抜、選手権両大会が中止となり、東日本大震災から10年の節目を迎えた今大会は特別。仙台育英の島貫丞(じょう)主将が「これからの10年、私たちが新しい希望の力になれるように歩み続けます」と選手宣誓した言葉は印象的だった▼それだけに、伊藤投手は東北勢悲願の優勝を果たせなかったことが悔しかったのだろう。昨年の目標を失った先輩たちの無念に対する思いもあるはず。試合後に「完敗です」と話す潔さが、この春は胸にしみる▼歌人三枝浩樹さん(74)の2017年の若山牧水賞を受賞した歌集『時〓(じとう)集』に「高校野球」と題する作品がある。<一度(ひとたび)にて再びはなきたたかいの渾身の勝ち、渾身の負け>。力を尽くして敗れた球児たちを、まぶしげに見守る姿が浮かぶ▼今大会はもう一つ、節目があった。選出校に21世紀枠が設けられて20年。地区枠との戦力差で初戦突破は厳しいのが現実だが、勝ち負けを超えた大切なものが感じられる。高校野球の「希望の力」はそこから湧いてくる。(2021・4・5) 
(注)〓はしめすへんに寿の旧字。

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