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石炭火力削減 世界の潮流にはまだ遠い | 社説 | コラム - 熊本日日新聞

 地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)を多く出す旧式の石炭火力発電所について、政府が2030年度を目標に段階的に休廃止する方針を打ち出した。

 「脱石炭」は、温暖化対策の国際ルール「パリ協定」に基づき欧州を中心に広まっている。日本も取り組みを迫られていた。

 しかし方針では、発電効率が良い新型は運転を認め、新たな施設の建設も可能という。石炭火力は最新の設備でも液化天然ガス(LNG)火力の2倍のCO2を出すとされる。「旧型を新型に置き換えるだけでは」といった批判が出るのも当然だろう。世界の潮流である脱石炭にはまだ遠い。

 石炭火力に依存し、途上国への輸出も進める日本の姿勢は、これまでも国際社会から批判されてきた。やっと上げた重い腰はそれなりに評価できるが、なお厳しい視線も注がれよう。

 日本が石炭依存を強めた背景には東日本大震災がある。東電福島第1原発事故後、全国の原発が停止。代替として石炭火力やLNG火力が増えた。なかでも石炭は原料が調達しやすく価格も安いことから、優れた主要電源と位置付けられた。全体の発電量(18年度)に占める石炭火力の割合は32%に上り、LNG火力の38%に次ぐ規模となっている。

 現在、国内にある石炭火力は140基。このうちCO2の排出が多い旧式を対象に、地域の安定的な電源確保などといった事情を踏まえながら、100基程度を休廃止対象とする方針だ。発電量に占める石炭火力の割合は、30年度には26%に減るという。

 しかし、ハードルは高い。原発再稼働と太陽光、風力など再生可能エネルギーの普及が課題となるが、現在稼働する原発は5基で発電量に占める割合は6・2%。再生可能エネルギーも電池のコストが高い、天候に左右され不安定、といった課題が残されたままだ。

 加えて、電力会社の事情も異なる。原発が稼働していない北海道電力、北陸電力は石炭への依存度が高い。一律の休廃止要請は依存度が高い会社ほど大きな打撃となる。安定供給を難しくし、電気料金の値上げにもつながるのでは、といった指摘もある。

 苓北(苓北町)など3カ所の石炭火力を持つ九州電力も「(石炭を)基幹的なベースロード電源」と位置付け「慎重な議論が必要」と国の方針を注視する。

 石炭への依存度が高い日本は世界の環境団体でつくる組織から温暖化対策に後ろ向きだとして「化石賞」をもらったことがある。政府は石炭火力の輸出も厳格化する方針で、「世界の潮流に乗り遅れるな」という意気込みは伝わる。残念なのは、CO2削減=温暖化防止に向けた具体的な戦略が見えないことだ。

 温暖化につながる化石燃料にはこれ以上頼れない。過酷な原発事故を経験した以上、再び原発依存には戻れない。ならば、再生可能エネルギーの充実、普及に向けた道筋を明確に示すべきだ。

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July 04, 2020 at 05:11AM
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