自由な外出がしづらい今、子どもたちが楽しく読める本を紹介するコーナーを月1回設けます。
初回のテーマは「笑っちゃう話」。
紀元前から現在に至るまで、人間は様々な発明をしてきました。『ややっ、ひらめいた! 奇想天外 発明百科』(徳間書店)は、発明の成功品や失敗品を、楽しいイラストとわかりやすい文章で解説しています。
紹介されている中には、設計図が残るだけで、世に出ることのなかったものや、実験段階で事故を起こしてしまったものも。しかし、どの品にも共通するのは、発明家の想像力と情熱が注がれていることです。
「これが本当にあったら使ってみたい」と思うようなものもたくさんあります。
発明品が使われる様子が描かれたイラストを見ると、自分がその時代にタイムスリップしたようなわくわくした気分になります。
また、現代では、時を計るのに当たり前に時計を使っていますが、かつては太陽や火や水、ロウソクなどを利用していたことなども分かり、興味がわきます。
この本にあるユニークな発明品の数々に触れることで、みなさんも、とてつもなくよいアイデアがひらめくかもしれませんよ。(中3・丹羽美貴記者)
5歳といえば、日本では小学校にも入っていない年齢です。その年で「2桁×2桁の掛け算を暗算でできる」と言われても信じられないでしょう。しかし、『マチルダは小さな大天才』(評論社)の主人公マチルダはそういう子どもなのです。
マチルダは、計算だけでなく、難しい文章も読めてしまう「天才」。しかし、父親はマチルダを「ばか」呼ばわりし、虐げます。腹を立てたマチルダは、父親への「仕返し」を計画し、実行します。その痛快なこと!
その後マチルダは学校へ通いますが、子どもにひどい言いがかりをつける暴力的な校長先生に出会います。しかも校長は、過去に恐ろしい悪事をはたらいた疑いが……。そんな校長をやりこめる方法も、マチルダは一人で考えて決行します。どのような方法かは、読んでのお楽しみ。読者の想像をはるかに超えるものであること間違いなしです。
外出自粛や休校措置の延長などで、退屈な日々を送る人もまだ少なくないはず。マチルダの痛快な「仕返し」を読んで、スッキリすることをお勧めします。(中1・中野和貴記者)
『うそつきの天才』(小峰書店)《1》で、「はっきりいって、十三歳にしては、ぼくはうそをつくのがうまい」と語るぼくの名は、ウルフ。そう、この本は、著者であるスウェーデンの作家ウルフ・スタルクさんの少年時代がもとになっているそうです。
落第点をごまかすためにウルフがとった手は、署名欄にパパの字をまねてサインすること。「千回は書いた」と自慢しているところを先生に見つかり、自分で両親に報告せよと言われます。
そこでウルフが出した結論は「二度と家には帰らない」。冬の町を3日もさすらいますが、教室に戻れば、その惨めな家出を、華々しい英雄物語にしてしまう天才ぶりを発揮。うそつきは作家の始まり!?と、あきれちゃいます。飼ってもいない愛犬の死を悼む作文で先生にほめられる2作目と合わせて70ページほどの短編。気楽に読めます。
『ノウサギのムトゥラ 南部アフリカのむかしばなし』(岩波書店)《2》の主人公、ノウサギのムトゥラは、小さいけれど賢くて、大きい動物にも負けません。自分をばかにしたゾウとカバをうまくさそって、くたくたになるまで綱引きをさせたり、いばるライオンを痛い目にあわせたり、人間の女の子をだましたワニをこらしめたり。
逆にムトゥラがだまされる「うさぎとかめ」そっくりの話や、アメリカの「ウサギどんキツネどん」に似た話も。いたずらだけれど、強い者を知恵で負かす主人公はにくめません。さし絵もゆかい。アフリカの太陽や風を感じながら思い切り笑ってください。
家で過ごす時間がふえた今、ゆったり眺めたいのは、イラストレーターの和田誠さんによる、ことば遊び絵本『ことばのこばこ』(瑞雲舎)《3》。
「うたうたう」「たいふうごうごうふいた」等、上下どちらから読んでも同じになる回文、「くものむこうに なにがある あるぷすのゆき あるのかな……」と、同じ音でつないでいく、しりとりなど18種類の遊びが、ユーモラスな絵と手描き文字の組み合わせで紹介されます。
「にどたべても さんどいっち」「よじに きても ごじら」。声に出すと、さらに楽しめます。絵で笑わせてくれるのは、同音異義語。「あめがふる」では、女の子のさす傘に飴が降っているし、「さけをのむ」では、おじさんが魚の鮭をのみこもうとしています。
お友達や家族にも教えて、一緒に笑えたらいいですね。
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