この記事を読み終わった時には、あなたの脳は変わっているでしょう。
その理由は、脳の可塑性、つまり脳が脳自体を変化させて再構築する能力。
脳が新しい情報を処理するたびに、ニューロンが発火して、新しい経路ができ、脳が形状と構造を変化させるのです。
近年には、脳の可塑性を意識的に管理して脳機能を最適化し、仕事のパフォーマンスを改善、さらにはチームのパフォーマンスにも影響を与えられると主張している研究者もいます。
脳の可塑性の仕組みは思ったよりもずっとシンプルです。見ていきましょう。
脳の可塑性の仕組み
脳の可塑性とは、手短に言えば学習して適応する脳の能力です。最近まで専門家たちからは、脳は思春期の終わりまでに完成し、それ以降ニューロンは低下していくと信じられていました。
しかし、最新の研究では反対のことが証明されています。実際には、神経経路が適切に扱われるのならば、脳は成人期を通じて成長して変わることができるのです。
「脳の可塑性についての重要な点は、実際に脳内の接続を作ったり再編成するのが可能だということです」と述べているのは、Marsha Chinichian博士。
博士は、ロサンゼルスの臨床心理療法士で、高評価を受けているメンタルフィットネスのアプリ、Mindshineのブレーンでもあります。
人間は誕生時に多くのニューロンやシナプス、回路を持っていて、年を取るにつれてニューロンなどが減っていくと長い間思われていました。
ですが、今ではそうではないとわかっています。実際に脳を変化させて、さらに成長させることが可能です。
脳の回線は変えられるのです。
世界中のトップの認知専門家らも、Chinichian博士の熱意を共有しています。その1人に、Natalia Ramsden氏がいらっしゃるのです。
彼女は、ビジネス心理学者であり、英国唯一の脳最適化クリニックであるロンドンのSOFOS Associatesの創設者でもあります。
Ramsden氏は、「自分で脳の構造を向上させられることは、エンパワリングです。その機能を発達させるためにできることはたくさんありますし、そうすることによって職場での生産性が大幅に改善できるでしょう」と語っていました。
意思決定力がアップ、認知疲労の防止にも
これが脳の可塑性の概念でした。では、仕事にどのように取り入れていけばよいのでしょうか。
自分の脳を巨大な電力網だと想像してみてください。
自分が考えたり、感じたり、何か行動するたびに何十億もの経路が光ります。脳の可塑性を実行に移すということは、望ましくない経路は強化せずに、すでにある最善の経路を強化しつつ、新しい経路を切り開くということです。
「ニューロンは結合し、発火しないと結合しない」というヘッブの法則が言い得ています。
マサチューセッツ工科大学の上級講師であり、脳のバイブルともいえるベストセラー『脳メンテナンス 無限の力を引き出す4つの鍵』を著した神経科学者のTara Swart博士は、最近、このプロセスを道路建設と比較しています。
「未舗装の道路から高速道路に移行するようなものです」と、Swart博士はEuropean CEOに語っています。
今は未舗装の経路を鍛えることができますね。それを使えば使うほど、活動を繰り返せば繰り返すほど、未舗装の道路を築いて高速道路にすることができます。
こうして新しくできた高速道路は、情報をより速く処理できるだけではなく、精神疲労を防ぐ役目もあります。つまり、ストレスとミスが少なくなるのです。
「脳を筋肉のように考えてみるとわかりやすいでしょう」と述べているのは、認知神経科学者のLynda Shaw博士。
公認心理学者で、イギリス王立医学協会フェロー、英国心理学会のアソシエイト・フェローです。
上腕二頭筋のカールをしっかり行なうと、その筋肉が鍛えられて大きくなります。脳もそれと同じなのです。
正しい方法で、頻繁に脳のエクササイズをすると、可塑性によって脳がもっとパワフルになるのですよ。
現在増えている在宅勤務についても脳の可塑性は重要です。
Atlassianのように期限を設けずに在宅勤務にすることに決めた場合、職場での刺激は激減しますが、新しいルーティンや習慣を確立しなければならないので、ツールとしての脳の可塑性の価値はさらに高まると専門家は述べています。
Shaw博士はこう言いました。
上司は、社員が革新的で創造的になって、変化を受け入れて適応することを奨励すべきですね。それには、脳の可塑性は素晴らしい方法で、チームが変化の先を進むことができます。
認知経路を再配線する9つの方法
では、次に認知経路を再配線する9つの方法を見ていきましょう。
1. 脳に栄養を与える
脳が総体重に占める割合はほんのわずかですが、消費エネルギーは食べたものの4分の1にもなります。神経経路を強化するには、食事も強化しなければなりません。
Ramsden氏によれば、昼間の間食にクルミやブルーベリー、アボカドなどを取り入れるのがいいそうです。脳の可塑性を促進するには、ビタミンDとマグネシウムを最優先に摂取します。
2. 昼寝をする
7〜9時間の睡眠で、脳にとって良い翌日が迎えられます。
そして、午後に20分程度の短い昼寝をすることで脳の可塑性を高めることができるのです。短時間の昼寝は、脳内のニューロン間の重要なコネクタである樹状突起棘の成長を促します。
3. 仕事は潔く切り上げる
筋肉増強と同じように、脳の可塑性がうまく機能するためには休憩が必要です。
Chinichian博士がマネージャーに勧めているのは、その日の終わりに小さな達成事項を振り返りそれを感謝する「終業時」の習慣を作って実践すること。
終業時にSlackで「今日のブレーンストーミングでは素晴らしいアイデアが出ました。どうもありがとう。お疲れさまでした。また明日」とメッセージを送れば、チームにで、チームが評価されていると感じることができます。
エンドルフィンが放出され高揚感や満足感が高まる方法でその日のストレスから解放されることは、脳の可塑性に対して申し分のない状況をつくり出します。
そして、これは、仕事から「離れて」夜はくつろいでいいのだという合図にもなりますよ。
4. 語彙を増やす
毎日、新しい単語を1つ覚えましょう。専門家によると、こんなシンプルな行動でも視覚的にも聴覚的にも新しい神経経路が刺激されるそうです(数カ月後には、英単語を並べるゲームのスクラブルで敵なしになるでしょう)。
5. 利き手ではない手を使ってみる
利き手ではないほうの手を使ってみるのは、新しい神経経路の形成だけではなく、すでにあるニューロン間の接続を強化するのに優れた方法です。
たとえば、右利きなら左手で歯を磨いてみます。そして、それをしばらくやってみた後、磨きながら片足立ちでバランスを取ろうとすると、可塑性が2倍鍛えられますよ。
6. ジャグリングを学ぶ
ジャグリングは、脳の可塑性を高めるための素晴らしい手段としてよく挙げられるものです。デスクの引き出しに小さなボールをいくつか入れておいて、仕事の隙間時間に脳を鍛えるためにジャグリングしてみてはいかがですか。上達すればするほど、メリットは大きくなります。
7. チェスをする
脳の可塑性に対して無限の可能性を秘めたゲームである、チェス。チェスプレーヤーには、チェスを知らない人よりも、前帯状皮質にずっと多くの灰白質があります。
また、メンタル面のメリットのためには、他のプレーヤーやボードは不要です。Chess.comでオンラインチェスができますよ。(ゲームを終わらせなくても脳へのメリットはあります。)
8. 記憶術を実践する
数式や韻などの記憶術を学ぶことで、前頭前野の頭頂葉ネットワークの接続性が高まり、脳にポジティブな新しい経路が増えのです。
9. チームでマインドフルネスを実践
Chinichian博士によると、チームの可塑性を上げる最善の方法の1つには定期的なグループ瞑想があるそうです。オンラインには、このサイトとこのサイトのようなオプションがあります。
それは(脳の役立つ部分を強化しながら)脳のポジティブな再配線プロセスに役立つだけではなく、チームメンバーが冷静と情熱、そして自覚を持って問題に対処することにもつながります。
これは、最高レベルの脳の可塑性ですね。
Source: Mindshine, SOFOS Associates, Amazon, European CEO, Lynda Shaw, Atlassian, VerywellHealth, Within Meditation, Headspace
Originally published by Fast Company [原文]
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