Search This Blog

【ビブリオエッセー月間賞】6月は『フタバスズキリュウ もうひとつの物語』 大阪府高槻市の関珠海さん - 産経ニュース

ビブリオエッセー月間賞

6月は『フタバスズキリュウ もうひとつの物語』 大阪府高槻市の関珠海さん

月間賞を選考する書評家の江南さんとジュンク堂書店難波店長の福嶋さん(左から)=大阪市中央区(南雲都撮影)
月間賞を選考する書評家の江南さんとジュンク堂書店難波店長の福嶋さん(左から)=大阪市中央区(南雲都撮影)

本にまつわるエッセーを募集し、夕刊1面とWEBサイト「産経ニュース」などで掲載している「ビブリオエッセー」。皆さんのとっておきの一冊について、思い出などとともにつづっていただき、本の魅力や読書の喜びをお伝えしています。6月の月間賞は大阪府高槻市の関珠海さん(20)の『フタバスズキリュウ もうひとつの物語』に決まりました。ジュンク堂書店のご協力で図書カード(1万円分)を進呈し、プロの書店員と書評家による選考会の様子をご紹介します。

「二十歳の女性の糧に」(福嶋さん)「自身が学ぶ上の指針」(江南さん)

--さて6月分です。全体の印象はどうですか。

江南 今月に限らず、本を読んで人生を振り返ったり世相を憂えたりと、どうしても大きな構えのエッセーが多いのですが、もう少し日常から発せられた日々の軽やかな感想や気づきを書いてもらってもいいのかな、と思いました。本中心主義といいましょうか。

福嶋 コロナ禍もすでに1年半になりますが、いまだにいつ自分が感染してもおかしくないという状況です。その反映か、1日1日を生きることの大切さとか、限りある命といった共通のメッセージを、多くのエッセーに感じました。

江南 状況が確かに一回性の生とか、死生観について考えさせますよね。

福嶋 それが、取り上げられた本とうまくフィットしたものとそうでないものとがありました。

江南 日常の大切さを言いたいがために本を使うのではなく、本を読んだことでそんな気持ちになったんだなと、すとんと納得させられるものがいいわけです。

福嶋 『不機嫌な作詞家 阿久悠日記を読む』は、短い言葉にも阿久さんのやってこられたことが偲ばれ、亡くなる前に記された「死ぬな まだ死ぬな まだまだ求められている」に切実さを感じました。酒井雄哉老師の『一日一生』では、命がけの行に挑む1日の重みの違いを感じました。「川のせせらぎを聞くように読んだ」という一文が、浮くかなと思ったけれど意外となじんでいました。

江南 川のせせらぎ、普通はクサくなりますがきれいな言葉でまとめても説得力がありました。『密やかな結晶』は小説のレビューとして正統派でとてもよかったです。描かれた世界を、フィクションとして片づけていいのだろうかと問いかける結語の部分もとても自然。現代への批評も織り込んで丁寧に書かれていました。小川洋子さんの初期作品ですが、小説の普遍性、時代を超える力も教えてくれます。

福嶋 『絵本・ことばのよろこび』は絵本の主役は絵という通念を問い直させ、エッセーの書き手の思いが伝わってきて心地よかったですね。

Adblock test (Why?)


からの記事と詳細 ( 【ビブリオエッセー月間賞】6月は『フタバスズキリュウ もうひとつの物語』 大阪府高槻市の関珠海さん - 産経ニュース )
https://ift.tt/2V9YRN1


Bagikan Berita Ini

0 Response to "【ビブリオエッセー月間賞】6月は『フタバスズキリュウ もうひとつの物語』 大阪府高槻市の関珠海さん - 産経ニュース"

Post a Comment

Powered by Blogger.