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日銀短観改善 力強い回復とはまだ言えない - 読売新聞

 企業の景況感が上向いたが、本格的な回復にはまだ遠い。業種や規模によって好調と不振のばらつきも目立つ。新型コロナウイルスの感染抑止と事業者の支援に努めるべきだ。

 日本銀行が、6月の企業短期経済観測調査(短観)を発表した。企業の景況感を示す業況判断指数は、大企業・製造業で前期より9ポイント高いプラス14だった。4四半期連続の改善で、2018年12月以来の高水準となった。

 新型コロナのワクチン接種が進む米国などで景気が持ち直したことで、輸出が伸びているのが要因だ。業種別では「生産用機械」や「電気機械」、「非鉄金属」といった幅広い分野で上昇した。

 一方、世界的な半導体不足を受け、「自動車」は7ポイント悪化した。自動車は日本の基幹産業で裾野が広く、生産が滞れば影響が大きい。官民で、半導体の安定調達に注力することが大切だ。

 大企業・製造業では、3か月後の先行きを示す指数が小幅ながら悪化した。世界で原油や鉄鉱石など原材料の価格が上がり、コスト増が懸念されている。米国の景気過熱や物価上昇も不安要素だ。

 日本の景気を力強く浮揚させていくには、輸出頼みから脱却し、内需が引っ張る自律的な回復へと移行することが望まれる。

 短観では、内需関連が多い大企業・非製造業が2ポイント上昇のプラス1と、5四半期ぶりにプラスに転じた。ただ、製造業との差は大きい。コロナ禍に苦しむ「宿泊・飲食」はやや改善したが、マイナス74と、依然として低水準だ。

 内需の柱である消費を押し上げるため、安心して買い物やレジャーを楽しめる環境を整える必要がある。東京では、再び感染者が増加している。まずは、感染拡大の抑止が優先だ。

 コロナ禍で消費が抑えられたことで家計の貯蓄が増えている。ワクチン接種が広がって感染が収束に向かえば、消費が一気に回復するとの見方がある。

 だが、職域接種の申請受け付けが急に停止されたように、一部に混乱が見られる。政府は供給見通しを明確に示し、早期に国民に行き渡るよう、市町村や企業への円滑な配送に努めねばならない。

 休業や営業時間の短縮に応じている事業者への協力金の支給に遅れが出ていることも問題だ。

 困窮する事業者の資金繰りは、一刻を争う場合が多い。雇用を守るためにも、政府と各都道府県は、手続きの簡素化などによる迅速な支給を進めてもらいたい。

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