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研究データ入り磁気テープも…ノーベル賞に貢献した「お宝」売ります - 朝日新聞デジタル

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 今年設立50周年を迎えた高エネルギー加速器研究機構茨城県つくば市)が財源を確保するため、不用になった研究機器を売り出している。ノーベル賞に貢献した研究データを記録した磁気テープに、米国製の古いパソコン。日本の科学研究を支えてきた「お宝」の数々に、いったいいくらの値がつくのか――。

 つくばエクスプレス(TX)つくば駅から車で約20分。高エネ研の一室には、入札に出品中の研究機器がずらりと並んでいた。

 昔、家のビデオデッキで使っていたような形状の磁気テープがあった。高エネ研で行われた実験データが記録されている。

 宇宙の成り立ちにかかわる現象「CP対称性の破れ」を説明し、2008年のノーベル物理学賞に輝いた「小林・益川理論」の検証に貢献した貴重なデータだという。

 竹内大二・研究支援企画室長によると、現在は使われていない古い規格のテープだという。データを再現できるのか尋ねると、「解析には実験で使用した特別なソフトが必要。簡単に読み解けるものではありません」。

 古いパソコンがあるのも気になった。スーパーでかつて見かけたレジスターのようなキーボード。ディスプレーはブラウン管のテレビに似た形をしている。米国のコモドール社製で、加速器で実験を行う際、簡単な計算に用いられていた。竹内室長は「説明書はありませんが、ヒューズをつければ起動できます」。

 「50th」と大きなロゴが刻まれたプラスチック製の板は、粒子の反応測定に使われた「シンチレーター」。光にかざすと青色に変わる。今年が高エネ研設立50周年にあたるため、不用になった品を高エネ研内の施設で切断加工してロゴを刻んだ。出品点数は2点。世界に二つしかない「レア物」だ。

 これらを含め「セプタムC電磁石用」などと実験装置の機能や名称を記した表示板や、文鎮として使えそうな重い歯車など計33点が出品されている。

 不用品はこれまで、鉄くずとして売却したり、廃棄物として処分したりしていたが、高エネ研は昨年から、入札方式で売却を始めた。出品した14点のうち、全国から6人がネットで応募し9点を購入した。

 複数応募があった品は高値を提示した人が落札。昨年の最高値は「2線式コールホン」。ダイヤルはないが、受話器を上げるとインターホンのように音が鳴って相手と会話ができる仕組み。高エネ研内の連絡用に使われていたという。6669円で売れた。昨年の落札総額は合計3万7754円だった。

 同様のオークションでは昨年7月、自衛隊装備品が総額581万8千円で売れた例がある。

 今年の売上金は、50周年事業の一部に充てる。竹内室長は「落札総額は数十万円を目指したい」と力を込める。申し込みは17日まで。応募方法は高エネ研のウェブサイト(https://www2.kek.jp/kff/uriharai/2021/別ウインドウで開きます)に掲載している。(鹿野幹男)

     ◇

高エネルギー加速器研究機構〉 前身は1971年に設立された高エネルギー物理学研究所茨城県つくば市東海村に施設がある。陽子や電子などの微小な粒子を光速に近い速度にして高エネルギー状態にする加速器を活用し、誕生直後の宇宙の謎の解明や、物質・生命の起源にかかわる研究をしている。その成果はノーベル物理学賞を受賞した2008年の小林誠氏(高エネ研特別栄誉教授)、今年7月に亡くなった益川敏英氏(京都大名誉教授)の2氏、15年の梶田隆章氏(東大宇宙線研所長)の研究にも生かされている。

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