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崩壊を始めたIOC、「五輪」というビジネスモデルはもう破綻した - 論座

 東京五輪開催の是非をめぐっては、開催国の国民に対する敬意や配慮を欠いた国際オリンピック委員会(IOC)幹部の暴言が看過できない問題に発展している。トーマス・バッハ会長は犠牲を払えといい、ジョン・コーツ副会長が緊急事態宣言下でも開催できるといい、果てはディック・パウンド元副会長がアルマゲドン(最終戦争)に見舞われない限り計画通りに開催すると言い放った。

 いみじくも日本は国民主権の民主主義国家だ。コロナ禍という異常事態の中、不安に駆られ困窮する国民の同意も無く、オリンピックを主催するIOC幹部らが東京に乗り込み、「犠牲の祭典」など好き勝手に強行開催できようはずもない。

 IOCの幹部3人の発言からは、IOCが求める「友愛」と「尊重」というオリンピックの価値を見いだすことはかなり難しい。彼らの失言を超えた暴言は進退問題として発展してもおかしくない。開催地へのこれほど権高なIOCの態度は、いまだかつて見たことが無い。

首相官邸を訪れた国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長(左)と菅義偉首相=2020年11月16日、首相官邸 拡大首相官邸を訪れた国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長(左)と菅義偉首相=2020年11月16日、首相官邸

 オリンピックというビジネス・モデルはすでに破綻している。開催地に巨額の費用を求め、住民やボランティア、そして五輪選手らに犠牲を強いる。4年に一度、2週間で33競技339種目も一気にこなすことに無理がある。

 オリンピックはIOCと開催都市、そしてメディアの協働で成り立つ。いやこの三者の共謀がその実態だ。その片棒を担いできたのが筆者かもしれない。東京五輪開催だけでなく、筆者はオリンピックとIOCとそのものの是非についていま、議論すべきだと考える。本稿ではIOC側から見たオリンピック・ビジネスの虚構について論じていきたい。

「与党総会屋機関誌」のような海外ネット・メディア

 筆者は米五輪専門メディア、「Around The Rings(ATR)」の記者としても活動している。これは個人ジャーナリストが集まったギルド組織で、他に本業を持っている者も多い。筆者は社員記者でもなければ、フリーランスとも違う。東京五輪の大会ボランティアと同様に、期間限定かつ無報酬のボランティア記者だ。長野五輪からこれまで、距離を保ちつつATRに関わってきた。

 ATRはエド・フーラ編集長が1990年代に創業したネット・メディアで、IOCや国際競技連盟(IF)の動向にまつわるニュースを主に扱っている。また、フーラ編集長はIOCに密着にする、いわゆる「IOC記者」の一人で、毎日新聞に『五輪を語ろう』というコラムを持ち、定期的に寄稿している。

 朝日新聞社が社説で東京五輪中止を訴える「英断」を決行した10日前、オリンピック界にちょっとした「さざ波」が立った。米国ジョージア州アトランタに本部を置くATRがフロリダ州マイアミにある南米系の『Miami Post』という地域紙に身売りしたのだ。東京五輪開催まであと2カ月、まさに寝耳に水といった出来事だった。

 ATRは定期購読料と広告収入で成り立つ。購読者は五輪関係者が主で、広告主は招致都市や五輪スポンサーが多い。オリンピックにすがって生計を立てる弱小メディアだ。IOCが変調をきたせば、ATRは破綻する。

 読売新聞社のIOC担当、結城和香子編集委員はその著書『オリンピックの光と影—東京招致の勝利とスポーツの力』で、ATRについて「広告費の加減なのか、特定の招致都市に肩入れした論調が出ることもあるため、公平さには少し疑問符が付く」と評した。

 ちなみに、読売新聞社は東京五輪組織委員会のスポンサーであり、「IOC記者」の結城氏は取材先である組織委の内部組織「メディア委員会」のメンバーである。組織委はスポーツ界の権力である。その内側から記者として権力を監視できるのだろうか。

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