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【正論7月号】武漢研究所起源説はもう陰謀論ではない 筑波大学システム情報系准教授 掛谷英紀 - 産経ニュース

中国科学院武漢ウイルス研究所=1月、中国・武漢(共同)
中国科学院武漢ウイルス研究所=1月、中国・武漢(共同)

※この記事は、月刊「正論7月号」から転載しました。ご購入はこちらをクリック

五月五日、ニューヨーク・タイムズ紙で長年科学記者を務めたニコラス・ウェイドが、「Bulletin of the Atomic Scientists(原子力科学者会報)」に一万語を超える長編の記事を掲載した。記事のタイトルは〝The origin of COVID: Did people or nature open Pandora’s box at Wuhan?〟(COVIDの起源:武漢でパンドラの箱を開けたのは人間かそれとも自然か?)である。タイトル自体は中立であるが、その中身は人間がパンドラの箱を開けた可能性が非常に強いことを示唆するものとなっている。

実は、この記事の大部分は、私を含む一部の科学者には既に知られた内容であった。しかしながら、その名を広く知られた大物記者による記事ということに加え、ノーベル医学生理学賞受賞者でカリフォルニア工科大学の学長も務めたデイビッド・ボルティモアから新型コロナウイルス人工説への肯定的コメントを取り付けたこともあり、世論の反応はこれまでとは全く違ったものとなった。誰もがウイルスが研究所からの漏洩を起源とする可能性を躊躇なく語ることができるようになったのである。

これまで、多くのウイルス学者によって、新型コロナウイルス(学名:SARS-CoV-2、以後SARS2ウイルスとも表記)は天然由来であるという主張が繰り返され、研究所からの漏洩を示唆する議論は全て陰謀論とのレッテルを貼られ続けてきた。三月三十日に世界保健機関(WHO)の調査団の報告書が公表されたが、そこには自然界の動物から中間宿主を介した人間への感染を起源とする可能性が最も高く、研究所からの漏洩事故による感染の可能性は極端に低いと結論づけられている。しかし、それを裏付ける有力な証拠は何も記されていない。

SARS2ウイルスに類似した二〇〇二年の重症急性呼吸器症候群(SARS)は流行開始から四カ月、二〇一二年の中東呼吸器症候群(MERS)では九カ月のうちに感染を仲介した動物が見つかっている。十五カ月以上が経過し、八万以上もの動物の検体を調べても感染源が見つかっていないことは、過去の例と比較すると異常と言わざるをえない。

にもかかわらず、なぜこれまで研究所からのウイルス漏洩は陰謀論扱いされてきたのか。そこには、米国の政治とメディアの事情がある。日本と同様、米国のメディアも全体的に左傾化している。テレビもFOXなどごく一部を除き、民主党支持でトランプ政権を強く批判する立場であった。トランプ大統領は、新型コロナウイルスを中国ウイルスと呼ぶなど、中国に対して強硬姿勢を貫いていた。民主党を応援する米メディアとしては、トランプ政権下での米中対立激化は避けたかった。米国民が対中国で一致団結すれば、政権への支持が強固になり、トランプ再選の可能性が増す。それを回避するため、新型コロナウイルスについて中国の責任を追及するような報道は、大統領選が終わるまでFOXを除いてほとんど見ることはできなかった。(この分析は私の独断によるものではなく、米シンクタンク「アトランティック・カウンシル」上級研究員のジェイミー・メッツルも、コメディアンのジョー・ローガンの動画番組で同様の見解を示している)。

ところが、大統領選が終わり、民主党のバイデン候補が当選すると、その流れは一気に変わった。左寄りの大手メディアも、一斉に新型コロナウイルスに関する責任追及の報道を始めたのである。

続きは「正論」7月号をお読みください。ご購入はこちらをクリック

「正論」7月号 主な内容

【大特集 日本滅ぼす平和ボケ】

非核の妄執を排す 真の防衛論議を 作家 石原慎太郎

台湾有事へ欠く政治の当事者意識 東洋学園大学客員教授・元空将 織田邦男

軍事忌避続けば安全保障は破綻 評論家 潮 匡人

誰も想定していない尖閣有事の住民避難 ジャーナリスト 仲村 覚

経済安全保障に鈍感な日本社会 経済ジャーナリスト 井上久男

外資撤退で中国のアキレス腱を衝け ジャーナリスト 濱本良一

中国が仕掛けるハイブリッド戦争 名桜大学国際学群准教授 志田淳二郎

産業競争力奪うサイバー攻撃の脅威 中曽根康弘世界平和研究所主任研究員 大澤 淳

国家機能マヒさせる身代金要求型ウイルス NTTチーフ・サイバーセキュリティ・ストラテジスト 松原実穂子

危機から目を逸らすメディアの大罪 ブロガー 藤原かずえ

<反共鼎談>「中国こそ脅威」と堂々と言おう 反共3兄弟 評論家 石平/静岡大学教授 楊海英/産経新聞台北支局長 矢板明夫

戦狼外交とSNSで目指す「中国の夢」 ジャーナリスト 福島香織

日本人も使う中国プロパガンダ 日本ウイグル協会副会長 アフメット・レテプ

【特集 「脱炭素」に反対】

国益損じるより今こそ製造業強化を 一般財団法人「産業遺産国民会議」専務理事・産業遺産情報センター所長 加藤康子

中国利するだけの愚かな温暖化対策 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹 杉山大志

日本製小型原発を活用せよ 産経新聞論説委員 長辻象平

イメージだけで石炭火力手離すな 「君は日本を誇れるか」特別版 作家 竹田恒泰

▼武漢研究所起源説はもう陰謀論ではない 筑波大学システム情報系准教授 掛谷英紀

▼アメリカの分裂は始まっている 麗澤大学准教授 ジェイソン・モーガン

▼河野談話「上書き」する新談話を検討せよ モラロジー道徳教育財団道徳科学研究センター教授・麗澤大学客員教授 西岡力

【特集 日本共産党に騙されるな】

革命路線に変わりなし 過去と現在の主張から読み解く 公安調査庁次長 横尾洋一×作家・元外務省主任分析官 佐藤優

コロナ禍に乗じて党勢拡大 元板橋区議(元日本共産党区議団幹事長) 松崎いたる

▼阿南惟幾 戦後日本への〝遺言〟 大阪観光大学国際交流学部講師 久野潤

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