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在留資格失った姉妹、母が進行がんに 「まだ日本で働きたい...」 - 東京新聞

 日本で育った南アジア出身の姉妹が、日本の男性と再婚して離婚した母親(46)とともに在留資格を失い、苦境に追い込まれている。母親は昨秋、がんで倒れ、多額の治療費が必要になった。このため、長女(20)は大学を自主退学しており「苦労して育ててくれた母を助けたい。在留特別許可を得て働きたい」と訴えている。(望月衣塑子)

在留特別許可 強制送還の対象となる外国人について法相が裁量で在留を認める制度。明確な基準はなく、出入国在留管理庁は、日本人との結婚などの家族の生活状況や、本国の情勢などを考慮して判断するとし、期間は3年以内で認められ更新もできる。強制送還に不服があり、外国人が異議を申し出た段階で、在特を出すかどうか決める。難民認定申請者に対し、難民とは認めないが、人道的配慮から在特で滞在を認める場合もある。

「娘には苦労かけた」と話す南アジア出身女性(左)と長女のミナさん(仮名)=都内で

「娘には苦労かけた」と話す南アジア出身女性(左)と長女のミナさん(仮名)=都内で

◆離婚きっかけ、母は入管へ収容

 母国で現地の男性と離婚した母親と、長女、次女(16)は2007年5月に来日。長女が5歳、次女が1歳の時だった。母親が日本人男性と再婚し、3人は「日本人の配偶者等」の在留資格を持ち、東京都内で暮らしていた。

 ところが10年、男性が家を出て離婚。母親は介護福祉士の資格を得て、朝から晩まで介護と清掃の仕事を掛け持ちし、近所の住民らの助けも借りながら娘2人を育てた。

 姉妹の強い希望もあり日本に残る道を模索、当時の弁護士に相談したがうまくいかず、母親は15年8月、不法残留で入管施設に収容され、長女と次女も在留資格を失った。

 長女は当時、中学2年。母親の収容で生活は一変した。次女とともに同じ国から来た親戚のもとに身を寄せた。母親は2カ月で入管施設から仮放免されたが、就労資格もなく収入はゼロ。支援団体の寄付や同級生家族らの援助に頼る暮らしとなった。

◆がん発覚でも保険適用できず

 昨年10月、母親が倒れ、ステージ3の進行性の卵巣がんと判明。在留資格の喪失で国民健康保険から外され、病院での治療は全額負担になっており、病院から「治療費は最低で500万円」と言われた。

 長女は中高で学級委員をつとめ勉強熱心で、昨年4月に経営を学ぶため、支援を受けながら大学に進んでいた。しかし、母親の病気に伴い、大学を自主退学。「今は母を支え、働けるようになったらお金をためて、もう一度大学に行こう」と考えている。

 一家を支援するNPO法人「北関東医療相談会」が、寄付金を集め、母親は7月に手術を受けられることになった。だが、術後も抗がん剤治療のため多額の費用が必要となる。病院側から「公費での医療費負担がある在留特別許可を得てほしい」と言われるが、入管当局の許可はまだ出ていない。

 NPO法人「移住者と連帯する全国ネットワーク」の山岸素子事務局長は「仮放免の在留希望者は医療や社会保障の対象から排除され、過酷な生活を強いられている。日本は子どもの権利条約の批准国として『子どもの最善の利益』と『家族の結合』を守る義務がある。親子に早期の在留資格を認めるべきだ」と求める。

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