河北春秋(5/18)：４０％はまだ青信号。３５％で黄信号に変わ… - 河北新報オンライン

2021年05月18日 10:00

　４０％はまだ青信号。３５％で黄信号に変わり、３０％はいよいよ赤信号がともる。小難しい数字の話で恐縮だが、世論調査の内閣支持率を見るときの大まかな物差しである▼「国民も交えた長いドラマが始まります」。故加藤紘一氏が２０００年冬に起こした「加藤の乱」。山崎拓氏と共に支持率１８％台だった森喜朗内閣の不信任決議案に賛成する構えを示した。党は強烈な切り崩しで乱を鎮圧。加藤氏は採決欠席に追い込まれた。それでも森内閣の支持率は１桁台まで落ち込み、小泉純一郎政権の誕生につながる▼共同通信社の最新の世論調査で菅義偉内閣の支持率は４１・１％。まだ青信号の範囲内だが、党支持率４１・９％をわずかに下回った。党支持層で「菅離れ」が進む兆候にも映る▼首相は先日、高齢者へのコロナワクチン接種を７月末までに完了できない自治体があることについて「実はショックだった」と述べた。見通しの甘さは世論との乖離（かいり）そのもの。政府のコロナ対応を「評価しない」は７１・５％で安倍、菅内閣を通じて最多となった▼山崎氏の著書にある。「加藤の乱こそ小泉政権を生んだといえるのではないか。自民党をぶっ壊すきっかけを作った」。いま政治にダイナミズムがあるとすれば、どんな「長いドラマ」が待ち受けるのか。（２０２１・５・１８）