2020年10月18日09時00分
香港と深センを結ぶ「深セン・ベイブリッジ」。手前が香港、対岸が深セン【ＥＰＡ時事】
◆日中福祉プランニング代表・王 青◆
中国・深セン市は、「イノベーションの最先端都市」「アジアのシリコンバレー」「未来都市」などと呼ばれ、注目を浴びている。現在は人口１３４３万人で、北京、上海などに次ぐ大都会だ。また、住民の平均年齢は約３２歳で、とても若い街である。スタートアップも多く、若者にとって起業の天国として知られている。
一方で、深センには、上述のような先進的な「顔」とは別に、驚くべきもう一つの顔がある。それは「離婚率が断トツに高い」ということだ。深セン市民政部門の最新発表によると、２０２０年の第１四半期の離婚率は４８．５％（全国一）に達している。そして、これらの多くは「偽装離婚」だとみられている。
どういうこと？ なぜ？ なんのため？ 恐らく日本人なら誰でもこのような疑問を持つだろう。
一言で説明すると、深センの離婚率は、不動産価格の上昇と政府の住宅購入制限政策と深く関連している。人口が増加するにつれ、不動産価格は上昇していく。不動産に投資すれば、わずか数年、いや数カ月で大きなリターンを得られる。不動産投資はお金持ちになる一番の近道であることが、ここ約１０年の各大都市の地価上昇で証明されている。
先の政府の発表では、１０年から今年まで、深センの不動産と離婚率が同じカーブを描いていると指摘された。特に１５年に、深センの住宅価格が１４年の１平方メートル当たり２．７万元から３．４万元に急騰した時点で、離婚率も１４年の２４．４％から３７．８％に急上昇した。とうとう今年は４８．５％にも上がった。ちなみに０６年からの１０年間、深センの不動産価格は４９０％も値上がりし、もちろん今も上がり続けている。
中国政府は１０年から、過熱した不動産市場を鎮静化するため、５０以上の都市に住宅購入の制限政策（「限購令」）を導入した。おおむね、１世帯において現有の住宅以外の新規購入は１戸までとした。また、戸籍の有無、組むローンの割合、頭金の割合、納税など、さまざまな条件を付けた。この限購令は１世帯１戸の購入のため、既婚者には不動産の投資が制限され、不利であることが明白だ。
深センは驚異的な発展を遂げ、人材が集まる中で、多くの可能性が潜んでいる一方、成功を急ぐあまり、功利的で、「一獲千金」の社会風潮も増長し、蔓延（まんえん）している。
不動産購入の制限令に対して、まさに「上に政策があれば、下には対策がある」のように、「偽装離婚」をすれば、今持っている不動産の名義やローンなどを１人に集中させ、もう１人を何も持っていない身にして、住宅購入の権利を持てるようにすることができる。つまり、離婚は双方の感情のもつれや価値観の違いによるものではなく、富を増やす綿密な計画によるものだ。購入が成功すれば、復縁する人がほとんどだが、以前から夫婦間で何らかのもつれがある場合、復縁せずそのまま別れる人もそれなりにいる。
深センは１５年からほぼ毎年の離婚件数が５．４万件。そして、今年４月は入籍結婚件数４１８６件に対し、離婚は３５２４件、離婚数が入籍数に追い付くぐらい衝撃的な数字になっている。
莫大（ばくだい）な錬金術の前に、「神聖」となる婚姻関係をあっさりと解除し、金銭の方へ走る「もうけ第一主義」は、不動産価格が高騰する都会であればどこにでもある現象だが、深センは特に深刻である。「未来都市」として称賛される分、深セン市民にとっては決して名誉なことではない。
「偽装離婚」、政策の隙間を狙っての欺瞞（ぎまん）行為、ここまできたら、さすがに政府も見逃すわけにはいかない。今年７月に、深セン市政府が離婚後3年以内の住宅購入を規制するという新政策を発表したのに続き、９月、銀行と政府機関が連携し、中国では初の婚姻関係と不動産所有を連動するシステムを深センで試行することとなった。果たして、また「対策」が生み出されるのであろうか。（9月25日記）
（時事通信社「金融財政ビジネス」2020年10月12日号より）
【筆者紹介】
王 青(おう・せい） 日中福祉プランニング代表。中国・上海市出身。大阪市立大学経済学部卒業。アジア太平洋トレードセンター（ＡＴＣ）入社。大阪市、朝日新聞社、ＡＴＣの３者で設立した福祉関係の常設展示場「高齢者総合生活提案館 ＡＴＣエイジレスセンター」に所属し、 広く福祉に関わる。 
"もう" - Google ニュース
October 18, 2020 at 07:00AM
https://ift.tt/3lY8Soo
未来都市「深セン」、もう一つの驚きの顔【洞察☆中国】 - 時事通信ニュース
"もう" - Google ニュース
https://ift.tt/36ZcnUk
Shoes Man Tutorial
Pos News Update
Meme Update
Korean Entertainment News
Japan News Update
Bagikan Berita Ini
0 Response to "未来都市「深セン」、もう一つの驚きの顔【洞察☆中国】 - 時事通信ニュース"
Post a Comment