川や湖など、私たちの 暮 らしに 欠 かせない、命の水を 巡 る本をひもときます。
家族でイギリスの湖水地方の 山荘 に 引 っ 越 してきた少年、ビルは、 湖畔 に住む地主にボートで遊ぶことを 禁止 されます。 怪 しげな行動に 疑問 を持ったビルは、妹のスーザン、友人のティムとペニーと 一緒 に、地主が 隠 している 秘密 に 迫 ります。森の向こうの 屋敷 や湖の中の島へ 冒険 に出た4人は、何を見つけるのでしょう。
『この湖にボート禁止』( 福音館 書店) の 舞台 、湖水地方は、 景色 が美しくピーターラビットの舞台としても有名。ビルたちの住む山荘「せせらぎ荘」は、湖と山に 囲 まれ、 渓流 の音も聞こえます。こんなすてきな場所に行ってみたいですね。
ビルの学校の 歴史 好きな校長先生のように、 子供 たちに力を 貸 してくれる大人もいます。「 生徒 が 不法侵入 した」と学校に 文句 を言いに来た地主と、校長先生の 言 い 争 いを、ビルが「ボクシングの 試合 」にたとえているのが面白いです。お 互 いに相手の弱みを言い合って、 一進一退 の 攻防 で 展開 していき、とても 臨場感 があります。読み出すといろんな秘密が出てきて、どんどん 引 き 込 まれます。ぜひ手にとってみてください。
川と人間はどう 関 わっていけばいいのかを、ていねいに 説明 してくれるノンフィクションです。この 『川は生きている』( 講談社 ) を読んで、本当に題名の通りだなあと思いました。
川には 異 なる 表情 があります。 荒 れた 洪水 の時とおだやかに流れる時です。人は長い間、川のはんらんに 悩 まされてきました。昔は平野の 水害 を 防 ぐために、あえて上流の水をあふれさせる 堤 や遊水地を 造 って 治水 をしました。 最近 は、 堤防 をコンクリートで造ったりダムを 建設 したりして、科学 技術 の力で川を 抑 え 込 むようになりました。
しかし、高い 堤防 ができて人が住むようになった 周 りの土地に、何十年かに一度、大水害が起きたりします。せっかく造ったダムも 土砂 に 埋 まってしまうこともあります。川は 自然 の一部です。だから、水を 蓄 えてくれる森の緑や 豊 かな土を守ることや、海を 汚 さないよう川をきれいにすることが大切なのです。
僕 の家の近くにも 幅 2メートルの川があります。コンクリートに 囲 まれた中でもコイが泳ぎ、川はおだやかな表情です。この川の水も海へと 戻 り、自然とつながっています。
梅雨 の 季節 、水をめぐる本を読んでみませんか?
『東海道 水の旅』(岩波書店) 《1》では、1991年 頃 の東海道 新幹線 の 車窓 から見える川、湖、 浄水場 などを水問題の 専門 家が 解説 します。午前7時 過 ぎ東京発の「ひかり」に乗って10分、 多摩 川を 渡 ると上流に見えるのは、 調布 取水 堰 。ここでせき止めた水は、水道水に使いましたが、水質が悪化し水道水には使われなくなりました。 富士 山の 湧 き 水 が 豊 かで 製紙 工業が 盛 んな 静岡県富士市 では、工場 排水 中の製紙かす(ヘドロ) 公害 をめぐって起きた 住民 運動にもふれます。
3時間弱で 新大阪 に着くまで、まるで 隣席 の人の 熱心 な 説明 を聞いているように楽しめ、 視野 が広がります。
美濃 の 国 ( 現在 の 岐阜県南部 )の 輪中地域 は、 木曽三川 (木曽、 長良 、 揖斐 川)の度重なる 氾濫 で 被害 を受けてきました。そのため、 江戸 時代半ばから三川分流の工事が行われたそうです。 『千本 松原 』(あかね 書房 ) 《2》は、 宝暦治水 (1754~55年)と 呼 ばれる工事にまつわる物語です。取り組んだのは、 幕府 の 命令 で、はるばる九州からやってきた 約 1000人の 薩摩 の 侍 たち。もちろん 周辺 の村人も 駆 り 出 されます。 資材不足 や 技術的 な 困難 、 延 びる工期、かさむ 費用 、病人の 続出 、幕府役人の 理不尽 な 要求 ……。 無言 の 抵抗 か、50人 以上 の薩摩 藩士 が 切腹 したという 難 事業のようすが、 洪水 に苦しめられていた 農民 の子・ 与吉 の目を通して 描 かれ、ズシリと心に 響 きます。 堤 に植えられた 松林 は今も 歴史 を 伝 えています。
『おじいちゃんは水のにおいがした』( 偕成社 ) 《3》は、 昆虫 や里山の写真で知られる写真家が、 琵琶 湖に 流 れ 込 む川で60年以上(本の 出版時 ) 漁師 をしている 田中三五郎 さんを 撮影 した写真集。80 歳 を 超 す三五郎さんは、 竿 で 木舟 をこぎ、 仕掛 けておいた「もんどり」という 漁具 を引き上げます。家族が食べる分だけ 捕 ることを「おかずとり」というそうです。家には川から水を引いた「かばた」という生け 簀 があり、コイが泳ぎ、 井戸 水も湧き出ています。ここで 果物 や 野菜 を 冷 やし、湧き水を飲み、 食器 を 洗 います。コイや水草のおかげで水はきれいに生き返ります。水と 自然 を 大切 にする 暮 らしをゆっくり 眺 めてください。
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