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コロナ禍で併願校絞り込もうとする動き…広野雅明<21> - 読売新聞

 9月からは多くの学習塾やテスト会社が、来年度入試に向けて模擬試験を実施致します。本年度はコロナ禍で、例年と大きく状況が異なる可能性があります。模試を適切に活用して受験校を選んでいただければ幸いです。

 サピックスでは、6年生前半には志望校判定サピックスオープンを2回、後半には合格力判定サピックスオープンを4回実施致します。後者は9月から毎月1回の実施で4回の結果を総合的に判断して、受験校を選択していただいております。出題はオーソドックスな問題が中心ですので、出題にかなり特色のある難関校は別途、実施している学校別サピックスオープンも受験していただき、合格への可能性を見ることができます。

 さて、まずは11月中旬に実施されました3回目の模試の結果を見ていきたいと思います。模試の受験者数は前年対比で約7%増加しています。11月に実施された他社の模試では、受験者数は微増、もしくはやや減少でしたので、来春の受験者数が今年度より大きく減少する可能性はあまり高くないと思われます。

 また、新型コロナウイルス感染への警戒感から、なるべく併願校を絞り込もうとする動きがありますので、志望順位の低い学校の受験、あるいはいわゆる「お試し受験」は減少する可能性が高いと思います。来年度はなるべく受験校数を絞り込み、できるだけ安全な受験校選定をされるご家庭が増える可能性が高いです。併願校数や1月校・午後入試校の受験もやや減少すると思われます。反面でどうしても受験したい、入学したいとお感じになる方の多い学校はますます厳しくなると思います。

 まずは2月1日の午前中に入試を実施する学校で、志願者数の多い学校を見てみましょう。特徴的なのは、開成、麻布、桜蔭、女子学院という男女のトップ校が軒並み志願者を減らしていることです。他の模試でも志願者を減らしていることが今年度は多いです。先ほどの安全志向、そして最後まで頑張って最難関校にチャレンジしようとする受験生が例年より少ないように思います。その反面で男子は駒場東邦、武蔵、早稲田など、女子は鴎友学園女子、吉祥女子などが増加しています。最難関校の受験者が減少し、やや緩和される分、その次の学校が志願者を大幅に増加させ、激戦が予想されます。

 昨年度は2月2日が日曜日でしたので、青山学院が3日に入試日を移動しましたが、本年度は2日に復帰した影響で、大学付属校や同校と難易度の近い学校が減少しているのが大きな特徴です。世田谷学園が来年度から理数コースを設置し、人気を高めていますので、その影響か、本郷、城北などがやや減少しています。

 2月1日に開成、麻布を受験するお子様の併願校として、2日は聖光学院、栄光学園、本郷、渋谷教育学園渋谷などの学校が挙がりますが、開成、麻布の志願者減の影響、そしてコロナ禍で遠距離通学への不安もあり、比較的近場の学校の志願が増えているようです。その中で洗足学園がコロナ禍でも学びを止めない対応が評価され、志願者をやや増加させています。

 2月3日は2日と逆に、青山学院が入試日を2日に戻した影響で大学付属校や青山学院と難易度が近い学校が大きく数を伸ばしています。今年度から昨年までの8教科入試から、4教科入試に移行する筑波大学附属中学校は特に男子で志願者を増加させています。

 表には含まれていない学校もありますが、1月校では市川(1)が前年比100.5%、渋谷幕張(1)は89.8%、栄東(1)は111.7%、東邦大東邦が97.0%、浦和明の星女子(1)が98.7%、立教新座(1)114.5%です。1月でも志望順位の高い受験生の多い学校はやはり人気があります。他にも進学実績が大きく伸びる大宮開成、最難関大学への進学実績で評価の高い北嶺、早稲田大学への大きな枠を持つ早稲田佐賀、青山学院の系属校となった青山学院大学系属浦和ルーテル学院などの人気が高いようです。また、聖徳大学附属女子が共学化・校名変更で光英VERITAS(ヴェリタス)となります。広大な校地と面倒見のよい女子校が共学化でどこまで人気を集めるかも注目されます。

 午後入試では、広尾学園(2)が95.0%、都市大付属(1)が109.8%、広尾学園・医進サイエンスが92.8%、中大横浜(2)が123.4%、香蘭女学校(2)が95.8%、巣鴨・算数選抜が107.0%と、昨年、大人気で一気に難化した学校が反動でやや志願者を減らすことが多いです。その一方で受験科目を算国または算理の選択とした東京農大第一、午後入試に初めて参入する獨協、村田学園女子が校名変更・共学化する広尾学園小石川などが人気を集めそうです。神奈川県では神奈川大附属が1日の午後に参入しますが、こちらも人気が出そうです。

 2月4日以後では、吉祥女子が従来の1日、2日、4日の3回入試から1日、2日の2回入試に変更し、4日の入試がなくなります。人気校の変更だけに、4日にどの学校が人気を集めるかも注目されます。

 また、来年度はフェリス女学院、早大学院などが面接の実施を取りやめたり、開成、桜蔭などが合格発表をWebのみにしたり、桜蔭、女子学院、雙葉などが出願をWebに切り替えるなど入試要項の変更も多々あります。昨年度までの情報とは異なることがかなりありますので、注意が必要です。また、開成中学校などが新型コロナウイルス罹患(りかん)者などを対象に追試を実施することも注目されます。入試日は塾の先生が校門前に並び、最後に応援する光景も来年度はほとんど見られなくなります。例年とはかなり異なる環境での入試となると思われます。

 さて、ここまで概観を簡単に紹介しましたが、模試の結果が出るたびに少なからず受験生が志望校を変更します。また、この時期に最終的な受験校を決定する保護者の個別面談を実施する学習塾も多いです。また昨今はインターネット出願が大半になっていますので、出願ぎりぎりまで受験校に悩まれるご家庭も増えています。模試の状況はあくまで現時点での動向に過ぎません。またお子様の成績も模試ごとにかなり変動することが多いです。調子のいいとき悪いとき、また得意な問題が出題されたとき、苦手分野が多く出題されたときなどでかなり差が生じます。また受験校を選ぶ際に偏差値表を見ることが多いと思いますが、偏差値表は80%合格ラインで作成されることが多いです。ただし、実際の合格者は下記のような分布になります。

 グラフの通りで、80%合格ラインは合格者の成績で見ると大体真ん中ぐらいです。実際の合格者の半数弱は、80%合格ラインより下の成績で合格しています。また、20%ラインよりも下のお子様でも合格する子はいらっしゃいます。模試は12月で終わりますが、お子様はその後の冬期講習や正月特訓、そして1月の授業でも伸びる子は最後まで伸びます。そのため、なかなか成績が伸びずに心配していたお子様が合格を勝ち取ることもあります。最後までお子様を信じて、励ましていただきたいと思います。

 今年は新型コロナウイルスの影響で、各学校の授業も大きな影響がありました。すでに1人1台のタブレットやPCを持たせ、問題なくオンライン授業に移行できた学校もあれば、そのような準備がなく4月以後に必死に体制を整えた学校もあります。また、その状況を外部に積極的に発信している学校がある一方で、発信にあまり積極的でない学校もあります。ただし、どの学校も生徒のために全力で支えたという事実には差がありません。そして今回の経験でどの学校もこのような状況下での経験を得ましたので、もし同じような状況が生じたらどの学校も問題なくオンライン授業に移行できると思います。私学の強さ、そして短期間でオンライン授業に移行した私学の先生方の実力を強く感じました。

 来年度の入試は新型コロナウイルス、インフルエンザなどさまざまな心配があります。まずはお子様の体調が大事であるとともに、ご家族が全員健康であることも重要ですので、非常に大変な時期でございますが、ご家族でお子様を支えていただきますと幸いです。我々、塾の職員も最後まで受験生、保護者をサポートしてまいります。ご心配なことがありましたら、すぐにお通いの塾の先生にご相談いただければ幸いです。

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