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まだ、あなたが知らないニューヨーク最新トレンド Behind the Spotlight レッドカーペットという名のビジネス - WWD JAPAN.com

 ニューヨークで活躍する名物クリエイティブ・ディレクター、メイ(May)と、仕事仲間でファッションエディターのスティービー(Stevie)による連載第6回。仕事とは別に、月に1、2度は新しいレストランを開拓しながら情報交換する2人。“You’d Better Be Handsome”は、2人がときにゲストを交えて、ニューヨークのトレンドや新常識について雑談する 。今回は、メイのクリエイティブ・エージェンシーでプロデューサーを務めるレイチェル(Rachel)もランチに初参加。ちょっと前に一息ついた今年の映画祭アワードシーズンについて3人で振り返る。レッドカーペットは、ファッション界では広告としての意味を持つ実に大きなビジネス。その表と裏の事情を分析する。

 本日のランチは、現在マンハッタンに3店舗を構えるビーガンフードカフェ兼 有機ワインバー「ル・ボタニスト(LE BOTANISTE)」。ベルギー発の「ル・パン・コティディアン(LE PAIN QUOTIDIEN)」のシェフ兼創業者であるアラン・クモン(Alain Coumont)が考案した新しいプラントベースのオーガニックフードを提供する。昔の薬局をイメージした店内の薬品棚にはアランが所有するぶどう園で造られた天然有機ワインが並ぶ。ソーホー店は127 Grand Street, New York NY 10013 Ph. 646 870 7770

スティービー:ここでのランチは、やっぱりチリシンカルネのボウルかな。肉が入ってないから、スペイン語で“抜き”を意味するシンカルネ=肉抜きってこと。

メイ:ここが「ル・パン・コティディアン(LE PAIN QUOTIDIEN)」の系列、と聞いて納得!

スティービー:レイチェルとは、 「マーク ジェイコブス(MARC JACOBS)」のショー以来だね。

メイ:映画祭の話には、セレブ“裏”ネタに詳しいレイチェルが必要だから。

レイチェル: 映画祭アワードシーズンのフィナーレ、第92回アカデミー賞が2月9日に終わって、余韻に浸る暇もないうちにコレクションシーズンに突入してしまうなんて、ファッション業界は一息つく暇がまったくない。

メイ:ところでロスはどうだった?「ヴァニティ・フェア(VANITY FAIR)」誌のアフターパーティーに出席したんでしょ?

スティービー:「ヴァニティ・フェア」誌のアフターパーティーって、オスカーに出席した後、みんな一度着替えて出席するんだよね?

レイチェル:そう。でも今回はサステナビリティを意識した選択肢が目立っていた。いちばんは「マリッジ・ストーリー」で助演女優賞を獲得したローラ・ダーン(Laura Dern)が、1995年と2014年に公の場で着たことがある「ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)」のドレスに「1017 アリックス 9SM(1017 ALYX 9SM)」のピンクのプレザーを合わせて登場したことかしら。

スティービー:モデルのリリー・アルドリッジ(Lily Aldridge)も、トム・フォード(Tom Ford)がデザインしていた2004年秋冬コレクションの「グッチ(GUCCI)」を着ていてかっこよかった。

メイ:それにしても、レッドカーペットビジネスって年々大きくなってる?

スティービー:それに並行してブランド間の競争も激化している気がする。レッドカーペットがブランドの勢いを証明する場みたいなものだから。

レイチェル:「アカデミー賞」の時期になると、ヘアスタイリストもメイクアップアーティストもみんなロスに呼ばれて、ニューヨークでは撮影が成り立たなくなるという状況に陥る。ロスのホテルも、普段なら300ドル(約3万1200円)で泊まれる部屋が1500ドル(約15万6000円)くらいに跳ね上がるし。この時期に用事がない人は、ロスに近寄るべからず。

メイ:そもそもレッドカーペットって、どれくらいの長さ?

レイチェル:「アカデミー賞」のレッドカーペットは、500フィート(約152メートル)と決まっているらしい。ジョージア州で作られていて、総面積にすると約4646平方メートルだとか。

スティービー:カメラ陣が構えているレッドカーペットを通って会場に入っていくわけで、そこで誰がどのブランドを着ているか、一瞬で勝ち負けが見えるわけ。勢力図も毎年着実に変わっていくし。

メイ:その500フィートのために、すごい時間とお金がかかっているってことね。

華麗なレッドカーペットの裏で
熾烈なブランド争奪戦争

スティービー:やはり「シャネル(CHANEL)」「ディオール(DIOR)」「グッチ」「ジバンシィ(GIVENCHY)」「サンローラン(SAINT LAURENT)」「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」「ジョルジオ アルマーニ」「ステラ・マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」「ヴェルサーチェ(VERSACE)」といったヨーロッパ勢が圧倒的に多いし強い。「オスカー デ ラ レンタ(OSCAR DE LA RENTA)」「トム フォード」「ヴェラ・ワン(VERA WANG)」などアメリカ勢も地味に続くという構図。

レイチェル:例えば今回いろんな映画祭でノミネートされていたマーゴット・ロビー(Margot Robbie)は「シャネル」とフレグランス契約を交わしている。だから「シャネル」が当たり前のように旬なドレスを提供してくれるというわけ。もしかしたら契約に、映画祭では必ず「シャネル」を着用することと書かれている可能性も大。そうでなくても、分かりやすいプレッシャーがあるはず。

メイ:同様に今回よく登場したシャーリズ・セロン(Charlize Theron)だけど、彼女は長年「ディオール」のフレグランス「ジャドール(J'ADORE)」のミューズ。だから結局オスカーも、ゴールデングローブも、「英国アカデミー賞(BAFTA)」もドレスは全て「ディオール」だった。

スティービー:そういう意味では、女優と契約をたくさん結んでいるメゾンが圧倒的に有利になるよね。例えば「シャネル」だとマーゴット・ロビーのほかにクリスティン・スチュワート(Kristen Stewart)、ペネロペ・クルス(Penelope Cruz)、そして最近マリオン・コティアール(Marion Cotillard)が「シャネルNo.5」のモデルとして発表されたばかり。彼女は長い間、「ディオール」のミューズだったから、数年の期間を置いて。そのあたりはちゃんと配慮している感じ。

レイチェル:以前「シャネルNo.5」の顔だったジゼル・ブンチェン(Gisele Bündchen)は、今は「ディオール」ビューティの広告に出ているし。野球のトレードに似てるかも?もしかして直接メゾン同士が話し合ってたりして?

メイ:「ディオール」はジェニファー・ローレンス(Jennifer Lawrence)、ナタリー・ポートマン(Natalie Portman)、今を輝くベラ・ハディッド(Bella Hadid)も抱えているし。

スティービー:オスカーって、他の映画祭と大きく異なるのは、世界225カ国地域で生中継されていること。そんな規模の映画祭、というか、イベントはほかにはないよね?考えられるのはオリンピックくらい。

レイチェル:どんなテレビ広告も、雑誌広告もビルボードも、足元にも及ばない。

メイ:しかもノミネートされたり受賞したりの話題の女優が着てくれるわけだから、メゾンも真剣になるわけ。オスカー前のハリウッドって、各ブランドがショールームを設置して営業しているけど、それくらいの価値は十分にあるわね。

スタイリストの政治力によっても
女優の仕事が左右される?

スティービー:女優たちとの契約ももちろん大事だけど、裏で働くスタイリストたちの活躍も大きい。

メイ:私たちも何度も仕事をしているケイト・ヤング(Kate Young)は、マーゴット・ロビー、ミッシェル・ウィリアムス(Michelle Williams)、シエナ・ミラー(Sienna Miller)、ダコタ・ジョンソン(Dakota Johnson)、ナタリー・ポートマンを抱えている大物。彼女は気さくな性格でエージェントにも好かれているから、一人のセレブを持つと、次々に同じエージェンシーが抱えるセレブのスタイリングを頼まれるみたい。

雑誌のクレジットなどでは見かけないけど、大物セレブスタイリストのレスリー・フレマー(Leslie Fremar)もシャーリーズ・セロン、ジュリアン・ムーア(Julianne Moore)、ジェニファー・コネリー(Jennifer Connelly)、レア・セドゥ(Lea Seydoux)を手掛けている。特にシャーリーズ・セロンは、レスリーと11年も継続しているらしい。

ほかにもロンドン在住のエリザベス・サルツマン(Elizabeth Saltzman)は、レッドカーペットだけではなく広告の仕事でもグウィネス・パルトロウ(Gwyneth Paltrow)が長年信頼を寄せているスタイリスト。最近は若手のシアーシャ・ローナン(Saoirse Ronan)もエリザベスをご指名らしい。彼女たちは実際のところ、センスはもちろん、仕事もきっちりするし、人間関係もきちんと築ける一流のスタイリストたち。

レイチェル:そのあたりがセレブスタイリストの大御所。このほかにも、セレブが信頼を寄せる若手スタイリストも多い。

スティービー:レッドカーペットの一瞬にどれだけ好印象が残せるかで「ディオール」のキャンペーンが継続するかどうかも決まるかもしれないし、次の映画の話が来るかもしれないわけだから、自分を最高に輝かせてくれるスタイリストにはいくらでもお金を払うわけだよね。

メイ:というか、実際どれくらい払っているかな?

スティービー:まちまちだとは思うけど、1日のフィーで約1万ドル(約104万円)くらい払っているのでは?しかも1日で終わる仕事じゃないから、準備で3日、フィッティングで2日、当日1日と考えると、1つの映画祭につき1人の女優で500万円くらいということになる。例えばブランドが「シャネル」と決まっていても「シャネル」から何着も借りてくるわけで。彼女たちがロンドンやニューヨークから移動するためのビジネスクラスの渡航費、一流ホテル代、車代、アシスタント代などなど、経費も相当のはず。

メイ:ってことは、ノミネートされている女優を数人抱えていたら、1シーズンでけっこう稼げるってことだね。でもこのニッチなエリアに新規参入するのは難しそう。

レイチェル:スタイリストの間でも、どのドレスを借りられるかは力の見せどころ。

スティービー:忘れてはいけないのは、雑誌やウェブマガジンで取り上げられるレッドカーペットの写真は、今回ノミネートされている俳優中心になるけど、ステージに上がらない後ろの方に座っているセレブリティーも結構いて、この人たちのスタイリングも必要となる。そう考えると本当にすごい量の服がこの時期ハリウッドに集中すると。

メイ:オートクチュールの直後で、ニューヨーク・コレクションの最中という過酷なスケジュールで、服の運び屋としてロスとパリを往復するアシスタントの話を聞いたことがある。

レッドカーペットにも
サステナブルの波

スティービー:今年のアワードのもう一つの話題は、サステナビリティを意識したチョイスが目立ったこと。「アカデミー賞」で主演男優賞を受賞したホアキン・フェニックス(Joaquin Phoenix)は、ステラ・マッカートニーに作ってもらった タキシード一着を全イベントで着用したことが話題になった。

レイチェル:それが話題になるって、やっぱりセレブの世界では同じドレスは2度着てはいけないという暗黙のルールが存在したってことよね?

メイ:ほかにもビンテージを選択することで、アップサイクルしていることをアピールしている女優さんもちらほら。マーゴット・ロビーも、「シャネル」の1994年春夏クチュールコレクションのビンテージを着ていた。キム・カーダシアン・ウエスト(Kim Kardashian West)も、2003年春夏の「アレキサンダー・マックイーン」のドレスを着て、アフターパーティーに出席していたわね。センスの見せどころよね。

スティービー:でも新しい服を買ってもらえないと、メゾン側はこんなに投資している意味がないわけで。その微妙なバランスを毎回チェックしながら進めている。間違っても今どきリアルファーはあり得ないし。

審査員に女性やマイノリティーが増加

スティービー:今回の「アカデミー賞」は、韓国のボン・ジュノ(Bong Joon-Ho)監督の「パラサイト 半地下の家族」が作品賞を含む4つの賞を受賞してみんな本当に驚いた。

メイ:「カンヌ国際映画祭(Cannes Film Festival)」でも最高賞をもらっていたから、十分に可能性はあるとは思っていたけどまさかの4つ。

レイチェル:「アカデミー賞」、通称オスカーは、“アカデミー”と呼ばれる映画のプロフェッショナルから構成されていて、2020年の「アカデミー賞」に新たに招待された審査員842人のうち50%が女性、そして29%がマイノリティーだったことも今回の結果に影響している。「LAタイムス(Los Angeles Times)」によると、全体の構成を見ると12年の時点で77%が男性、94%が白人だった。女性やマイノリティーが多く参加したとは言っても、現在も68%が男性、84%が白人と、やはり白人男性がまだまだ強い影響力があると言われているけれど、今後変わっていくのでは?

スティービー:その件については、すごく叩かれたからね。今年もノミネートされていた俳優陣がほとんど白人というので、“#oscarissowhite”というハッシュタグが出回ったほど。

メイ:ボン・ジュノ監督の快挙は、突然起きた出来事ではなく、彼はハリウッドでも作品作りをしてきたし、「パラサイト」の製作をした韓国の大手CJグループはドリームワークスに最初から投資するなど、時間とお金をかけてきた。ブランドビジネスも同じで、トレンドよりも、自分の中から湧き出てくる本質的なところで勝負することが大事。時間をかけてオーディエンスを育て、人種も文化もライフスタイルも超える圧倒的な存在感をアピールしていくことが世界で勝つためには必要ってこと。

スティービー: CJは僕もよく仕事をしているけど、一人の力じゃ大きくは咲けない、チームワークの大切をオスカーはいつも教えてくれる。

メイ/クリエイティブディレクター : ファッションやビューティの広告キャンペーンやブランドコンサルティングを手掛ける。トップクリエイティブエージェンシーで経験を積んだ後、独立。自分のエージェンシーを経営する。仕事で海外、特にアジアに頻繁に足を運ぶ。オフィスから徒歩3分、トライベッカのロフトに暮らす

スティービー/ファッションエディター : アメリカを代表する某ファッション誌の有名編集長のもとでキャリアをスタート。ファッションおよびビューティエディトリアルのディレクションを行うほか、広告キャンペーンにも積極的に参加。10年前にチェルシーを引き上げ、現在はブルックリンのフォートグリーン在住

レイチェル/プロデューサー : PR会社およびキャスティングエージェンシーでの経験が買われ、プロデューサーとしてメイの運営するクリエイティブ・エージェンシーで働くようになって早3年。アーティストがこぞってスタジオを構えるヒップなブルックリンのブシュウィックに暮らし、最新のイベントに繰り出し、ファッション、ビューティ、モデル、セレブゴシップなどさまざまなトレンドを収集するのが日課

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March 17, 2020 at 10:22AM
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