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FBのニュース対価論争、豪との対立はまだ序の口 - ウォール・ストリート・ジャーナル日本版

 米フェイスブックがニュース記事の共有方法を巡り、世界中の報道機関や規制当局と対立している問題で、同社は今週、オーストラリア政府と記事対価の支払いに関して合意に達したが、それでも問題の収束には程遠い状況だ。

 フェイスブックは23日、豪国内のプラットフォームで制限していたニュース記事の閲覧・共有を再開することで政府と合意した。一方、他の国々の政治指導者は巨大IT(情報技術)企業に対する調査を拡大する意向を示している。また報道機関も、同社に対して契約を交わすよう一段と圧力をかける方針だ。さらに対価を受け取るのはどの報道機関か、金額はどの程度かという点にも関心が集まる。

 フェイスブックと豪政府の合意は、IT企業にニュースコンテンツ発行元への支払いを義務づける法案の規定を同社が回避することに道を開く。ただし同社は発行元との独自の契約締結に取り組まなくてはならない。

 「豪政府が発行元との契約締結に向けた柔軟性を設け、規制適用まで30日の猶予を当社に与えたことに感謝する」。フェイスブックのグローバル・ニュース・パートナーシップ担当バイスプレジデント、キャンベル・ブラウン氏はこう述べた。もしフェイスブックと同国の報道機関との個別交渉に豪政府が満足しない場合、同社は新法に基づく支払い条件に応じることを余儀なくされるのではなく、再びニュースの閲覧・共有を制限する可能性がある。

 「そのような措置の必要が生じないことを期待する」とブラウン氏は述べた。

 想定される妥協案は、フェイスブックがモバイルユーザー向けにニュース記事を表示する「ニュース」タブでパートナーとなっている報道機関に対し、従来自主的に支払ってきた報酬に代わる手段となる。

 フェイスブックの広告事業は昨年の売上高が過去最高の860億ドル(約9兆円)を記録したが、同社が報道機関にこれまで支払った金額は、自らに過度の負担とならない程度だった。フェイスブックは先週、豪国内のプラットフォームでニュース記事を表示できないようにすると発表した際、同社のニュースフィードで人々が目にするコンテンツのうちニュース記事は4%にとどまると述べた。

フェイスブックは豪国内でニュース記事の閲覧・共有を制限した。ソーシャルメディア企業にコンテンツ対価の支払いを義務づける法案が審議されていることに反発したためだ。一連の動きにモデルケースとして世界の注目が集まる(英語音声・英語字幕あり) Photo: Josh Edelson/Getty Images

 報道機関はフェイスブックやアルファベット傘下のグーグルがもたらす視聴者に依存している。分析会社チャートビートのデータによると、フェイスブックが同国でのニュース共有制限を決めた直後、豪報道機関では国外にいる読者のトラフィックが約20%減少した。

 ピュー・リサーチ・センターが2020年秋に米国人を対象に行った調査では、フェイスブック経由でニュースを入手している人は約36%を占めた。これに対し、アルファベット傘下のユーチューブが23%、ツイッターが15%だった。

 フェイスブックと豪報道機関を巡る騒動は、同社やグーグルが米国で反トラスト訴訟に直面し、諸外国でも規制当局の調査を受けているさなかの出来事だ。ニュース記事の対価支払いを求める国々は、フェイスブックが市場支配力を乱用して、そうした経費の最小化や回避を狙っていると主張。豪当局は2019年の報告書で、大手プラットフォーム企業が幅広い広告主やニュース業界だけでなくソーシャルメディアの新興企業を脅かしていると判断した。

 フェイスブックとグーグルは共に、自社プラットフォームがジャーナリズムを支援しているとの立場だ。フェイスブックが自ら指摘するように、世界中の報道機関は対価を受け取る見込みがなくても、ソーシャルメディアで自分たちに向けられる関心を最大化することに躍起となっている。

 ある米報道機関は、フェイスブックの豪での論争は、ソーシャルメディア企業が以前は尻込みしていた対価支払いに改めて関心を持ったことの表れだと話す。

 「われわれは転換点を迎えている」。米新聞大手ガネットの主要紙「USAトゥデー」の発行人であるマリベル・ペレズ・ワズワース氏はこう述べた。「最終的に信頼できるジャーナリズムの価値がはるかに大きく評価されるということだ」

 USAトゥデーはライセンス契約を通じ、フェイスブックが米国内で提供するニュースタブに参加している。

 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)を所有する米メディア大手ニューズ・コーポレーションは、フェイスブック経由でニュースを提供する商業契約を結んでいる。先週にはグーグルとの間で3年にわたり、同社のコンテンツを提供して対価を受け取り、またグーグルのプラットフォーム向けに新コンテンツを開発することで合意した。

 豪での動きを受け、非伝統的メディア、例えばミディアムなどの執筆プラットフォームで記事を公開する独立系ジャーナリストが対価を要求する可能性もあると、バーンスタインのアナリスト、マーク・シュマリク氏は指摘する。

 豪当局は今月すでにカナダやドイツ、フランス、フィンランドの当局と、それらの国々でもプラットフォーム企業に報道機関への対価支払いを求める同様のルールを設けることについて協議した。カナダのスティーブン・ギルボー文化遺産相が明らかにした。同相はこれに賛同する国がもっと増える可能性があると述べた。

 またカナダのジャスティン・トルドー首相は22日、スコット・モリソン豪首相と協議。トルドー首相の事務所が公表した会話の要旨によると、その中でオンライン・プラットフォームの規制強化で協力する可能性を話し合ったという。

 「われわれは、大小含めたニュース発行元、デジタルプラットフォーム、および民主主義の健全性にとって持続可能な解決策を見つける必要がある」。カナダのギルボー文化遺産相はこう述べた。

 ニュース記事の対価支払いをめぐる係争は、欧州でここ10年余りくすぶっている。時に論争が激化したこともある。欧州連合(EU)が2019年に著作権法改正案を可決し、反トラスト当局が関与を強めたことで報道機関に有利な風向きとなりつつある。一つには、インターネット上で使用される著作物を巡り、極めて短い抜粋やハイパーリンクを除いて、報道機関が著作権を管理できるようにしたことがある。

 フェイスブックの広報担当者は、フランス・ドイツ両国と「フェイスブック・ニュース」の開始に向けて協議中だとした。そこに掲載される記事については報道機関に対価が支払われる。同サービスは先月、英国で開始され、ガーディアン紙などが記事を提供している。

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