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もうこんなクルマは作れない! FF最強インテRの現在地 - ベストカーWeb

 史上最強のFFスポーツといえば、現在ではシビックタイプRということになるが、かつて、ホンダはインテグラタイプRというFFスポーツが存在していた。

 1995年10月~2001年7月まで生産されたDC2型初代インテR、そして2001年7月~2006年4月まで生産された2代目DC5型インテRである。

 その心臓部には、初代が200psのB18C型1.8L、直4VTEC、2代目が220psのK20A型2L、直4i-VTECが搭載され、いずれも超高回転型で伝説的な殊玉のエンジンだった。

 思えば、もうこんなクルマはもう作らないだろう……とため息さえ感じるほど、素晴らしい史上最強のFFスポーツだった……。

 そこで、今初代インテRと2代目インテRはいくらで買えるのか? 垂涎のVTECは今でもちゃんと高回転まで回るのか? 中古車事情に詳しい伊達軍曹が、VTECスポーツ専門店に徹底取材した。

文/伊達軍曹
写真/伊達軍曹 ホンダ

【画像ギャラリー】リッター当たり110ps超え!! 最強のFFスポーツ インテグラタイプRの歴史を振り返る


リッター111.3馬力/初代インテグラタイプR(DC2型)


■1995年10月~2001年7月 B18C型1.8L、直4VTEC:200ps/19.0kgm

1995年10月に登場した初代インテグラタイプR。当時はFF最強のハンドリングマシンと言われていた
1998年1月に発売された後期型は98スペックRと呼ばれる。ワイドタイヤ(195から215に変更)、ホイールのインチアップ(15から16インチに変更)、ホイールナットも4穴から5穴に変更したほか、ブレーキローターの大径化やステンレス製の4in1等長エキゾーストマニホールドが装着された

初代インテグラタイプR(DC2型)の中古車情報はこちら!

 ホンダインテグラタイプR。言わずと知れたFFスポーツ界のビッグネームであり、レジェンドである。

 今さら説明する必要もなさそうな超有名モデルだが、DC2こと初代インテグラタイプRは1995年10月、3代目ホンダインテグラのマイナーチェンジを機に登場した3ドアクーペだ(※4ドアハードトップはDB8)。

 搭載されたエンジンは、1.8L、直4DOHC VTECのB18Cに専用チューニングを施したB18C spec.Rで、ピストンとカムシャフト、インテーク/エキゾーストマニホールド、ECUなどの変更により、排気量1.6Lの自然吸気エンジンでありながら最高出力200ps/8000rpmを達成。

 初期のB18C spec.Rエンジンは「職人が手作業でポート研磨を行っていた」という点でも伝説となったわけだが、実際の回転フィールにおいても「ほぼレーシングエンジン!」ということで、リアルな伝説となった一台である。

 その後、初代インテグラタイプRは1998年1月発売の通称「98spec」、そして1999年12月発売の最終型「00spec」へと進化を遂げて2001年7月には2代目のDC5へとフルモデルチェンジ。

なんの飾り気のないスパルタンなコクピット。モノコックの高剛性化、足回り、ECUの見直し、ファイナルギアレシオのローレシオ化などの変更が行われた。1999年12月には99スペック、00スペックといわれる最終型が発売された

リッター110.1馬力/2代目インテグラタイプR(DC5型)


■2001年7月~2006年4月 K20A型2L、直4DOHCi-VTEC:220ps/21.0kgm

2001年7月に登場した2代目インテグラタイプR。i-VTECを採用した2L、直4のK20A型エンジンは最高出力220ps/21.0kgmを発揮
2004年9月以降のマイナーチェンジモデルでは、ヘッドライト(通称涙目型)がシャープな形状に変更された

2代目インテグラタイプR(DC5型)の中古車情報はこちら!

 専用チューンを受けたK20A型2L、直4DOHC i-VTECエンジンは、初代を上回る最高出力220psを、初代同様の超高回転域である8000rpmで発生した。

 2代目は「やや肥大化した」ということで初代ほどの超絶圧倒的な人気を得るには至らなかったが、それでも、大人気を博した「(当時)世界最速のFF車」であることは間違いなかった。

 で、そんなホンダインテグラ タイプRの現在の中古車相場は、初代DC2が180万~440万円といったところで(1台だけだが「約890万円」という物件も!)、2代目DC5が120万~330万円というニュアンスである。

 ややクラシカルなスポーツカーは全般的に相場が上がっている昨今、インテグラ タイプRの相場もご多分に漏れず上がっているわけだが、ざっくり200万~400万円ぐらいが流通の中心だとするならば、「気合を入れれば買えなくもない」という状況ではある。

 これがR34スカイラインGT-Rのように「1000万円超が当たり前」の世界になってしまうと、いくら気合を入れてもどうにもならないわけだが、インテグラ タイプRの中古車相場は、まだそこまでは達していない。

 ということで、今なお魅力的なFFスポーツ界のレジェンドを中古車として買いたいと思うわけだが、心配なのは「ところで大丈夫なの?」ということだ。

 なにせインテグラタイプRが搭載したVTECエンジンは「ほぼレーシングエンジン並みのフィーリング」であり、なおかつ「超高回転型」である。そんなエンジンを搭載する中古車は、仮に買ったとしても結局は故障が頻発し、シャレにならない事態に陥ってしまうのでは……と心配でならないのだ。

VTECエンジン搭載車の在庫量日本一のショップを取材!

ホンダのVTEC搭載車を中心に取り扱う中古車ショップ『ケーズアップ VTEC PRO SHOP』さんを取材した

ケーズアップ VTEC PRO SHOPのホームページはこちら!

 実際はどうなのか? そこを確かめるため、VTECエンジン搭載車の在庫数はおそらく日本一なのではないか? と思われる専門店、埼玉県越谷市の『ケーズアップ VTEC PRO SHOP』を訪ね、同社代表取締役の芳賀邦行さんに詳しい話を聞いた。

――ということで芳賀社長、今日はいろいろと教えてください。まずは超基本的な話として、初代DC2型と2代目のDC5型では、どちらの人気が高いのですか?

芳賀社長 極端な差があるわけではありませんが、やはりDC2のほうが、より人気は高いですね。

1999年式インテグラタイプR、249.8万円、4ドアセダン、走行距離8.1万km フルノーマル後期最終型 

――DC2ですと、いわゆる96specと98spec、00specがあるわけですが、そのなかでの人気は?

芳賀社長 一概には言えませんが、やはり96よりも98、そして98よりも00の人気が高い――というのはあります。

 マイナーチェンジだけではないさまざまな年次改良が行われたことで、「最終型に近いほうがより完成度が高いから」というのと、単純に「最終型に近ければ近いほど数(流通台数)が少ないから」というのが、その理由ですね。

――中古車としてのコンディションも、「96よりも98、そして98よりも00のほうがグッドコンディションである」と言えるのでしょうか?

芳賀社長 いや、それはほぼ関係ありませんね。クルマとしてのコンディションは、年式や型式ではなく「それまでの使われ方次第」でかなり異なるというのが現実です。

――なるほど。では、もしもこれからインテグラタイプRの中古車を買うとしたら、どのあたりに注意しながら探せばいいのでしょうか? なにせ超高回転型エンジンを積んだ超高性能車ですから、いろいろとウイークポイントもありますよね?

VTECエンジンは20万km走っても普通に絶好調?

純正オプションMOMO製ステアリング(エアバック付き)。適度なグリップ感とタイプRの証でもある赤エンブレムが装着されている

芳賀社長 や、そこについては特に神経質になる必要はなくて、もしもかなり極端な言い方をするなら「カローラの中古車を買うような感じ」で選んでいただいても大丈夫なのが、インテグラタイプRというクルマなんですよ。

――いやいやまさか! さすがにそれはないでしょう?

芳賀社長 もちろんこれは「かなり極端な言い方」であって、実際には「インテグラタイプRやVTECエンジンについての知見と経験が豊富なショップで、それまで丁寧に乗られてきた個体を探し、それに十分なメンテナンスを施したうえで乗る」という、中古のスポーツカーを買ううえでの“基本”は重要です。しかし逆に言えば、その基本さえおさえれば、過剰に神経質になる必要はないんですよ。

――そ、そうなんですか?

芳賀社長 そうなんですよ。エンジンも、例えば20万kmぐらい走っているものであっても、普通に絶好調である場合が多いんです。

――VTECエンジンにはさほど詳しくない私みたいな人間(※得意科目は輸入車)からすると、あれだけ高回転までビュンビュン回るエンジンは、10年落ち・20年落ちの中古になるとかなりヤバくなるのでは……というイメージがあるのですが?

芳賀社長 実際はぜんぜんそうではなくて、例えば距離計の数字を黒いテープか何かで隠した「8万km」「15万km」「22万km」という3台のインテグラ タイプRにご試乗いただくとしたら、回転フィールやパワー感に関しては、一般の方はおそらく判別できないと思いますよ。

室内は日焼の色あせが少し出ているが、使用による痛みは少ない状態を保っている。純正フロアカーペットも装備

――エンジンオーバーホールを経験していない20万km車でもそうなんですか!

芳賀社長 そうですね。調子の良い個体であれば、20万kmのエンジンだとは思わないはずです。以前、走行15万kmほどのタイプRにお乗りのお客様から「フルではなくサラッとエンジンオーバーホールをしてほしい」とのご依頼を受け、メタルのチェックとシートの擦り合わせ、あとはピストンリング交換ぐらいのライトなオーバーホールをやらせていただきました。しかしですね、それをやってもフィーリングはさほど変わらなかったんですよ。

――つまり、走行15万kmでもオーバーホールをする必要がないぐらい、そもそもエンジン内部の状態が良好だったと?

芳賀社長 おっしゃるとおりです。もちろん、そのオーバーホールに「意味がなかった」とは言いません。やはり、できるときにしておいたほうがいいはいいですからね。でも、正直「やらなくても特に問題なかった」とは言えます。

エンジンオイルの管理は?

1996年式インテグラタイプR、入荷直後のため売価未定、走行5.6万km

――ううむ、そうですか……。でもさすがに「オイル管理」はシビアに考えたほうがいいエンジンなんですよね?

芳賀社長 インテグラタイプRに限らず、ホンダ車はシリンダーとピストンリングの相性が良くないのか、全般的にエンジンオイル消費が激しい傾向があります。で、メーカークレーム的にピストンリングを交換したとしても、あまり変わらないんですよね(笑)。

 しかしもちろん、構造の問題ではなく「オイル管理が悪かったから」という理由でオイル漏れを起こしている個体もあります。

――では、そういったオイル漏れを起こしていない個体を探すか、もしくは専門店でそこがしっかり直されている個体を探すという前提で、購入後のエンジンオイル管理はどんな感じでやればいいのですか?

芳賀社長 近年のクルマはどのメーカーであっても「エンジンオイルが減る」ということはほぼありませんが、インテグラタイプRのエンジンオイルは「絶対に減る」という認識を、まずは持ってください。そのうえで、減ったら継ぎ足すのではなく、走行3000kmから5000kmごとを目安に「交換」を行ってください。

 しかしDC2ぐらいの世代でしたら、お近くのカー用品店などでもオイル交換は簡単にできますので、そこ(早めのオイル交換)だけとりあえずしっかりやっていただければ、ある意味十分だと言えます。

――それで十分なんですか! インテRのエンジンって、想像以上に頑丈なんですね?

芳賀社長 実はそうなんですよ。

買ってはいけないインテRの中古車とは?

1996年式インテグラタイプR、走行5.6万kmのインテリア
1996年式インテグラタイプR、走行5.6万kmもシート

――ということは、世の中には良いモノからイマイチなモノまで、いろいろな中古車がありますが、「これだけはやめとけ! 手を出すな(=買ってはいけない)!」みたいなヤバい中古車って、インテグラタイプRの場合はあんまりないんですかね?

芳賀社長 うーん。例えば修復歴があったとしても、ボディアライメントまで含めてしっかりキッチリ直っている個体であれば、ぜんぜん問題ないと思います。

あとは「音とにおいの診断」が重要になるのですが、例えばエンジンルームから発生する「カタカタカタカタッ!」という音は、タペットクリアランスによる音なのか、それともパワステポンプの不良による音なのかは、一般の方にはなかなか判別しづらいと思います。そのため、そういった部分の診断がしっかりできる専門店を探すのが、とりあえずは重要になるでしょうね。

――足まわり等々については?

芳賀社長 足まわりのゴムブッシュは「傷んでいる」と思ったほうがいいでしょう。あとはエンジンマウントも、今まで1回も交換していない車両ではほぼ必ず傷んでいますね。

弊社では、これら緩衝材が完全にダメになっている場合は当然交換してから販売しますが、そうでない場合は、納車前にお客様のご意向、ご要望を確認しながら、替える・替えないを決めています。

 まあエンジンオーバーホールもそうですが、こういったゴムブッシュもリフレッシュしてあげると効果はてきめんですので、できればやられたほうがいいでしょうね。

インテRの部品供給はどうなっている?

2001年式、インテグラタイプR、239.8万円、フルノーマル、チャンピオンシップホワイト、走行距離3.6万km、純正赤レカロシート、社外HDDナビ装着、1オーナー、禁煙車
タイプR専用MOMOステアリングもスレ、破れなく良好な状態を保っている。内装のコンディションも全体的に良好

――部品はまだ出るんですか?

芳賀社長 ゴムブッシュに関してはホンダ純正部品がまだまだ普通に出ますし、社外品も豊富です。しかしその他の部品は多くが廃番になってしまいましたね。そのため、不具合箇所についてはアッセンブリー交換ではなく、最近は現物を分解修理または加工して再利用するケースが増えています。

――しかしオルタネーターなんかはたぶん、リビルト品がたくさんあるんでしょうね。

芳賀社長 おっしゃるとおりです。

インテRはほとんど手がかからない?

人気メンテナンスメニュー「ガッチリメンテプラン」が好評という。ホンダ純正パーツをベースに法定点検+タイヤ除くほとんどの各消耗品を別途12万7000円で交換
DC5オリジナルのレカロシート。ホールド性も良く、ロングドライブでも疲労感の少ないシート。崩れがちなサイドウォールも少々のシワより程度で非常に綺麗なコンディション

――となるとインテグラタイプRの中古車って、最近は相場がやや上がってしまったという問題点はありますが、そこ以外はもしかして「ほとんど手がかからない子」なんですかね?

芳賀社長 そうだと思いますね。基本、非常に丈夫です。まぁパワステポンプやステアリングラック、オイルクーラーやオイルパン付近からのオイル漏れはしばしば生じる、つまりゴム関係が弱いというのはあるのですが、「高額な修理費用がかかってしまう」という類のトラブルについては、ご心配いただく必要はほぼないと思っています。

――こんなこと一概には言えないのは重々承知ですが、例えば2年間に必要なメンテナンス費用って、だいたいいくらぐらいだと考えておけばいいでしょうか?

芳賀社長 そうですねぇ、あくまで弊社の場合で、なおかつご購入時に十分なメンテナンスを行った個体を、サーキット等ではなく公道で普通にお乗りいただく――という前提での話ですが……まぁエンジンオイル交換にかかる費用ぐらいじゃないですか?

――そ、そんなんでいいんですか?

芳賀社長 今お話しさせていただいた「前提」に基づくのであれば、弊社のお客様の場合はおおむねそんな感じです。

 あとは3年、4年と乗られる間に、クラッチディスクやマスターシリンダー、ゴムブッシュ、スターターモーター、DC2のデスビと、DC5ではダイレクトイグニッション……あたりの交換が必要になるケースはもちろんございます。でも、逆に言うと「その程度」なんですよ。

――ううむ。以上のお話を総合すると、インテグラ タイプRの中古車は間違いなく「買い」であり、今後は相場も上がっちゃいそうですから、もしも買うなら早めのほうが良さそうですね?

芳賀社長 決してポジショントークではなく、私もそのように思っています。インテグラタイプRは今、待っていても「いい個体」って出てこないんですよ。状態の良いものは、それを持ってらっしゃる方がほとんど手放さないからです。

 ですので、もしも多少「理想像」とは違ったとしても、想定ご予算の範囲内で「これならいちおう納得できるな」という個体が見つかったならば、それを早期にご購入されることをおすすめしたいと思います。

 これは決して「今がラストチャンスですよ!」的に煽りたいからではなく、「気づいたら、買えない相場になってしまった……」ということも十分考えられるからです。

――うむ。もちろん、買う気がない人が無理に買う必要なんてぜんぜんありませんが、もしも本当に欲しいならば、おっしゃるとおりかと思いますね。押忍。本日はお忙しいなか貴重な情報を教えていただき、誠にありがとうございました!

芳賀社長 いえいえ、どういたしまして!

【画像ギャラリー】リッター当たり110ps超え!! 最強のFFスポーツ インテグラタイプRの歴史を振り返る

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