先日の12球団合同トライアウトでは、新庄さんの参加が話題となりました。映像でしか見ていませんがしっかりと準備してきたことが分かる体の動きでした。48歳であれだけ動くのは難しいことです。もう1年やれば、もっと体が出来上がるんでしょうね。獲得オファーは届きませんでしたが、15年近くも運動をしていなかったのに、そこで「もう1回野球をやろう」と考えること自体がすごい。新庄さんらしいなと思いました。

野球だけではなく、今はどのスポーツも若い人たちがどんどん力をつけてきて、ベテランと呼ばれる年齢の選手たちにとっては、活躍の場が減少傾向にあります。20代のころは調子の悪いシーズンが1年あっても、「来年頑張ろう」となりますが、30代も中盤になると、それは「老い」だとみられてしまうのです。

人間ですから、年齢によって体の変化、体調の変化はあります。それまでやってきたこととは違う取り組みを模索しなくてはいけなくなります。ですが30代まで現役を続け、一定の成績を残してきた選手たちは、その山を乗り越えられると思っています。故野村克也さんが、成績が低迷していたベテラン選手を再浮上させた「野村再生工場」というのも、そういうことだと思います。阪神を自由契約となり、広島に復帰後再度活躍された新井貴浩さんや、5年ぶりに2桁本塁打を放った今季の西武栗山選手もそうですよね。力のある選手に対しては、球団側ももう一皮むけることを信じ、待ってあげる姿勢があるといいなと思います。日本ハムでいえば、来季の金子、秋吉の巻き返しに期待したいです。

私はレギュラーになった06年ころから、「食事」「トレーニング」「生活サイクル」など、3~5年後を見据えて行動するようにしていました。長く活躍したいと思ったからです。若いうちに、体力のカーブをどこまで上昇させられるか。そして、ある程度年齢を重ねたときに、その山の下降線をどう緩やかにしていくかが大事だと思います。“下降”といっても、練習量を落としていいということではありません。私自身もそれは意識しましたし、バスケット・レバンガ北海道の折茂さんも「若い選手と同じ練習ができなくなったらやめる」とおっしゃっていたのが印象に残っています。