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被災者情報のオンラインシステム、導入まだ3割 政府がようやく本腰、クラウドを活用へ - 東京新聞

 地震や豪雨などの被災者情報を、オンラインで自治体が管理できる「被災者台帳システム」の普及が全国的に遅れ、導入した自治体が約3割にとどまっている。これまで政府は、推奨しながら自ら動いてこなかったが、東日本大震災から10年となったのを受け、導入支援にようやく本腰を入れる。インターネット上に自治体が自由に利用できる台帳システムの基盤を構築し、普及を図りたい考えだ。(中根政人)

◆状況把握がスムーズに

 被災者台帳は、政府が東日本大震災後、被災者の生活再建支援を迅速に進めるため市区町村に整備を求めたデータベース。パソコンの事務用ソフトや紙の文書による管理も認められているが、情報の更新を誤った場合に支援金の支給漏れ、二重支給などの恐れがあるため、自治体ごとにオンライン化して役所内の各部署をつなぎ、情報共有する「台帳システム」の導入を推奨してきた。

 東日本大震災で大きな被害を受けた仙台市は、被災者の情報管理を目的に、2012年7月に台帳システムを導入した。市防災計画課は「個々の被災者の状況把握がスムーズになった」と利点を説明する。

◆ハードルは費用

 だが、公表されている総務省消防庁の最新の調査結果では19年4月現在、「全県対応のシステムを準備中」と回答した大分県を除くと、46都道府県の1723市区町村のうち、台帳システムを導入したのは32・3%の556市区町村にとどまる。

 大規模な地震災害を経験した茨城、新潟両県は100%だが、鹿児島や群馬など6県が10%未満だ。

 整備が進まない原因は、導入費用や政策の優先順位の問題が大きい。茨城県では、県が主導して台帳システムを整備し、19年度から常総市を除く県内市町村と共同で運用しているが、導入には約2億3000万円のコストがかかったという。

 福島県国見町は、2月13日に同県沖で起きた地震で震度6強を記録。罹災証明書の発行業務などに対応するが、台帳システムを導入していない。町環境防災課の担当者は「役場のどの課でもデータを見られるようになっていない」と情報共有面の課題を挙げつつ「小規模な自治体にとってシステムは費用面でのハードルが高い」と話す。

◆コンビニ交付も可能に

 普及を促すため、政府が新たに構築するのはネットの「クラウドコンピューティング」を活用した台帳システムの基盤。内閣府によると、市区町村ごとに運用することに変わりはないが、接続して住民基本台帳などのデータを入力すれば、住宅の損壊程度や支援金の支払いなどの情報を保存・管理できるようになる。罹災証明書の電子申請やコンビニでの交付も可能となる。

 21年度中に基盤を整備し、22年度の運用開始を目指す。関連経費として約7億5000万円を拠出する。

 オンライン化が進めば、個人情報の漏えい防止という課題も生じるが、内閣府防災担当は「自治体の導入コストを安くできるだけでなく、(データをクラウド上で管理することで)被災者のデータを消失するリスクも防ぐことができる」と必要性を強調する。

 新潟大の田村圭子教授(危機管理・災害福祉)は「災害対策は、平時の政策に比べ後回しにされる傾向がある」と指摘。「被災経験のある自治体の意見も参考にしながら、被災者にとって有効な施策を展開できるような情報を保存・管理できるシステムを構築してほしい」と政府に求めた。

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